2006 Fiscal Year Annual Research Report
多文化国家オーストラリアのマルチリテラシーの模索:多様性の涵養を目指した教育実践
Project/Area Number |
06J00643
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
青木 麻衣子 佛教大学, 教育学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | リテラシー教育 / 多文化社会の教育 / マルチリテラシー / 多様性 / オーストラリアの教育 |
Research Abstract |
本研究は、オーストラリアにおける英語の位置づけとその教育の必要性を、一般にマイノリティといわれる先住民を対象としたリテラシー教育の政策・実践をもとに再考する。そしてそれにより「統一的」な教育目標を設定する現代の国内外の傾向に疑問を呈するとともに、教育における多様性涵養の可能性を、多様な観点からの物事の把握を目指す「マルチリテラシー」の考えをもとに模索する。 本年度は特に、1.オーストラリア連邦政府及び各省庁が発表した政策文書・報告書の分析、2.リテラシー及びリテラシー教育に関する理論研究から、オーストラリアにおける「英語」の位置づけの明確化を試みた。そのため、9月から11月までの3ヶ月間は、同国で最初の国家言語政策を執筆したメルボルン大学のロ・ビアンコ教授の下で在外研究を行い資料収集・分析に努めるとともに、各省庁・機関等で関係者に聞き取り調査等を実施し、政策の開発・策定過程の議論を追跡することに努めた。その結果、1.これまでオーストラリアの政策策定過程で重視されてきた「協議」のあり方に変更が見られたこと、2.それにより連邦政府・教育省の意向を多分に反映した政策策定が可能となったこと、3.そのような変更が、近年、同国で進められている教育制度・内容の統一という大きな流れの中で行われてきたことを明らかにした。これらの成果は、6月に広島大学で行われた日本比較教育学会、11月に横浜市立大学で行われたオセアニア教育学会、1月に香港大学で実施されたアジア比較教育学会、また『オセアニア教育研究』第12号、『Sauvage 北海道大学大学院国際広報メディア研究科院生論集』で発表した。 来年度以降は、特にクイーンズランド州に焦点を当て、連邦レベルで合意された「統一的」な教育目標を達成するために、州政府・教育省がどのような取り組みを実施しているのかを、政策・実践の双方のレベルで分析する。
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Research Products
(3 results)