2006 Fiscal Year Annual Research Report
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06J00754
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中嶋 美和 (林 美和) 神戸大学, 総合人間科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 日本陸軍 / 昭和期軍部 / 地域と軍隊 |
Research Abstract |
1、本年度は昭和期軍部の構造解明を目的として、それにまつわる原史料の発掘、およびその分析に重点をおいた研究を行った。とくに幕僚を中心とする軍部内の各種専門家に注目する方法を用いることで、従来の研究にはない視点での昭和期軍部像に迫ることを目的としている。具体的には、元陸軍中将遠藤三郎が書き記した日記類を一次史料として使用し、1931年の満州事変をめぐる陸軍省と参謀本部との見解やその差異を明確にしていく作業を行った。 2、満州事変期における陸軍中枢の体制変容を知るうえで「1933年」をキーワードに据え、研究分析、およびそれに関する論文発表を行った。当時の軍部の政治的動向を解明するには、他の政治勢力(政党・官僚・宮中など)との連関や相互関係についても視野に入れる必要があると考える。そこで、本研究では1933年に起きた「満井佐吉少佐問題」を事例に取り上げることで、その問題にまつわる陸軍と内務省との対立関係に焦点を当てて分析を行った。 3、「地域と軍隊」研究の一環として、佐賀歩兵第55連隊を事例とした軍隊研究を行った。従来の「地域と軍隊」研究は地域史的視点が色濃く、軍事史的視点が薄い傾向にあるため、本研究では軍隊そのものに関する論考を中心に展開している。本研究で取り上げられた佐賀歩兵第55連隊は日露戦争後に佐賀に衛戍したが、1925年の宇垣軍縮によって解散した連隊である。その連隊が唯一出征した実戦である日独戦争(青島戦)を事例に取り上げ、佐賀地域と出征軍隊とのやりとりやその関係性についての分析を行った。
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Research Products
(2 results)