2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J00778
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大倉 正稔 Kobe University, 自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 細菌学 / 腸炎ビブリオ / 新型クローン |
Research Abstract |
新興型腸炎ビブリオは単一クローンに起因すると考えられる菌株群で、本菌株群による事例は1996年以降アジアを中心に世界的な拡大を起こしている。しかしながら、その流行要因は依然として解明されていない。 本研究課題では、近年の新興型腸炎ビブリオによる事例において03:K6と異なる様々な血清型株が次々と世界各地で分離されている事に着目した。血清型変換は宿主の免疫系、あるいは環境中でのファージによる感染を回避しうる事から、流行要因の一つとなるのではと考え、血清型に関わる遺伝子群の同定並びに変換メカニズムの解明を試みた。 本年度は、昨年度決定した新興型04:K68株の血清型関連遺伝子群の塩基配列情報を基に様々な血清型の株を用いて、PCRによるスキャニングを行い、他の04およびK68血清群の株も0およびK血清群の各関連遺伝子群が類似した構造をしている可能性を示した。また、右側境界遺伝子(rjg)が03:K6血清型以外の新興型株で、一部、あるいは全て欠失している事も明らかにした。以上から、本研究で同定した遺伝子群が他の血清型株に由来する同遺伝子群と組み換わる事により新たな血清型株が出現し、その際にrjgが関連している事が示唆された。 このメカニズムについては、同じビブリオ属であるコレラ菌において、環境中での生息域であるカニの甲羅やプランクトン等の体表の主要成分キチンの存在下、かつ貧栄養な条件で培養すると菌体外のDNAを取り込み、組み換えを起こしうる事が報告されており、同培養法により実験的に血清型が変換した株が出現したことも報告されている。我々はこの際に発現が高くなる遺伝子群を新興型腸炎ビブリオも保有している事を確認したので、今後、同現象およびその特異性を本研究課題で同定した遺伝子配列情報を利用し、検証する事により、新興型腸炎ビブリオの流行要因の解明につながる事が期待される。
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Research Products
(9 results)