2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J00815
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
前野 浩太郎 神戸大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | サバクトビバッタ / Schistocerca gregaria / 相変異 / 体色多型 |
Research Abstract |
1. サバクトビバッタの孵化幼虫の体色制御機構における母親由来の卵鞘の泡に含まれるフェロモン様物質の機能について新知見を得た。McCaffery et al.(1998)は、群生相の雌親が産卵時に卵鞘の泡に添加するフェロモン様物質が艀化幼虫の体色の黒化を誘導すると報告している。しかし、本研究で追試したところ再現することはできず、むしろ産卵前にすでに体色が決定されていることを示唆する結果が得られた。泡が出される前に卵を摘出した場合でも艀化幼虫の体色は黒化した。孵化幼虫の体色と体サイズとの関係を調べたところ、黒化の程度が増すにつれ体サイズは増加した。即ち、これら結果は、孵化幼虫の体色は産卵前にすでに雌親によって決定されていることを示すものである。 2. サバクトビバッタの終齢幼虫の体色に及ぼす孵化幼虫の体色と飼育密度の影響に関して新知見を得た。サバクトビバッタの終齢幼虫は体色多型を示すことが知られている。サバクトビバッタは孵化時にすでに体色に連続的な変異が見られ、これは親世代の混み合いによって影響されることが報告されている。これまでの研究では、終齢幼虫の体色発現は発育中に経験した混み合いによって制御されていると考えられており、孵化時の体色、即ち親世代の混み合いの影響を考慮した相蓄積の概念は検討されてこなかった。本研究は孵化時の体色を考慮し、終齢幼虫の体色に及ぼす混み合いの影響について調査した。その結果、孵化幼虫の体色が終齢幼虫の体色に重要な影響を及ぼすことが分った。孤独相由来の孵化幼虫は終齢時に孤独相特有の体色を発現しやすく、逆に群生相由来のものは群生相に特有の体色を発現しやすいことが分った。本研究により、サバクトビバッタの体色における相蓄積メカニズムは、親世代と子世代の混み合いが組み合わさった時に相特異的な体色が強く発現されることが示唆された。
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Research Products
(3 results)