2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J00827
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
竹安 大 Kobe University, 文化学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 有標性 / 位置的有標性 / 位置的忠実性 / 知覚的要因 |
Research Abstract |
前年度に得られた成果をさらに発展させるべく、阻害音について有標性および位置的有標性の分析をしたところ、閉鎖音・摩擦音については閉鎖音は摩擦音に比べ語頭で好まれやすく非語頭で好まれにくい傾向があること、破擦音は閉鎖音・摩擦音とも異なる位置的有標性を持つことが明らかとなった。さらに、こうした位置の影響が言語普遍的に観察されるか検討するために、日本語・英語の幼児や失語・構音障害・聴覚障害の人の発音などの幅広いデータの再分析・再解釈を行った結果、位置的忠実性はほぼ全てのデータについて共通した傾向が見られたのに対し、位置的有標性については現象間で傾向の違いが大きかったため、位置的有標性については更なる検証が必要であることが明らかとなった。 さらに、有標性が生じる要因として知覚的要因の関係が挙げられるか否かを検討するための実験を前年度に引き続き実施した。その結果、聴取条件によって閉鎖音・摩擦音の知覚しやすさは異なり、条件によっては閉鎖音の方が摩擦音よりも知覚しやすくなる場合があることが明らかとなり、閉鎖音・摩擦音間に有標性に知覚的要因が関与している可能性が示唆された。また、有標性が生じる要因として先行研究で挙げられている3つの要因(成人の発話における音素出現頻度、視覚的要因、産出的要因)が妥当であるかどうかを検討するため、統計的検定手法を用いて有標性のデータ(幼児の音産出)とそれぞれの要因との相関を分析したところ、各要因とも有標性との相関は見られたが、相関の強さはいずれも非常に弱く、有標性が生じる理由の説明としては不十分であった。このことからも、知覚的要因による説明の重要性がより高まったと言える。
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Research Products
(4 results)