2008 Fiscal Year Annual Research Report
時空間知覚における感覚間相互作用の実験心理的解明-聴覚系を中心として-
Project/Area Number |
06J00829
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
本郷 由希 Kobe University, 人文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 感覚間情報統合 / prior entry |
Research Abstract |
感覚間情報統合については,現象は多く報告されているものの,それらの現象個別の成立メカニズムは未だ解明されていないものが多く,多感覚情報統合一般に適用可能なメカニズムも未だ解明されてはいない。申請者は,視聴覚間のprior entry(先行呈示される聴覚刺激と同側空間に呈示される視覚刺激の方が,その反側空間に呈示される視覚刺激よりも早く呈示されたと判断される現象)について,視聴覚刺激間の空間的乖離prior entryの影響を大きくすることを突きとめ,さらにそれを足がかりとして,prior entryの成立メカニズムについて,これまでの仮説が妥当なものであるかを批判的に検討した。その結果,注意を用いた従来の説明ではなく,低次の検出機構によって説明が可能であることが示唆された。また,本年度では,研究対象とする感覚モダリティに触覚を加え,視覚や運動と触覚の情報統合についても検討した。その結果,非常に簡単な触知覚課題においても視覚が非常に強い影響を与えること,運動における能動性の程度が触知覚に影響を与えることを示した。これらの研究により,これまで現象報告が多くを占めていた感覚間情報統合の研究に対して,そのメカニズムについて実験心理学的手法を用いて明らかにする可能性を示した点で意義が有る。多感覚間の情報統合過程を解明することはヒトの知覚の仕組み理解する上で不可欠であり,それに貢献する点で重要であると言える。
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Research Products
(3 results)