2007 Fiscal Year Annual Research Report
時空間知覚における感覚間相互作用の実験心理学的解明-聴覚系を中心として-
Project/Area Number |
06J00829
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
本郷 由希 Kobe University, 文化学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 感覚間情報統合 / prior entry effect |
Research Abstract |
昨年度から引き続いて行った研究により,聴覚刺激の呈示方向(左右)の分かりやすさが,prior entry effect(先行刺激が呈示された空間に呈示されるターゲットの方が,他方に呈示されるターゲットよりも早く呈示されたと知覚される現象)の影響の大きさを変化させることを,より強固な事例として示した。「多感覚刺激の時空間的近接性」が,感覚間情報統合が生じる上で重要であるというのがこれまでの一般的な考え方であり,現在まで行われてきた多感覚情報統合に関する研究でも一貫して支持されてきた考え方であった。そのような一般通念には合致しない事例を示したことは,これからの多感覚情報統合研究に対しても,非常に意義のあるものである。また,本年度の新しい研究において,周波数が変化する聴覚刺激により,上下の視覚刺激に対する時間順序判断が影響を受ける可能性を示した。音の周波数変化(高低)と空間的な高低の関連を示した点で意義のある研究である。聴覚刺激の周波数の変化によって,空間的な表現ができる可能性を示しており,将来的には聴覚ディスプレイへの応用が期待できる。さらに,聴覚刺激の運動方向の検出と自己運動の関連を調べた研究では,それらの間に相互作用があることが示唆された。今後さらなる検討が必要ではあるが,ヒトの聴覚系は刺激の運動方向を検出する際に,自己の運動を割り引くような計算を行っており,またこのメカニズムが視覚系と同様のものであると示唆される。
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Research Products
(4 results)