2006 Fiscal Year Annual Research Report
Wnt5a・Ror2シグナル伝達系による細胞骨格制御とがんの浸潤・転移の制御機構
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06J00838
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
野町 昭 神戸大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 受容体型チロシンキナーゼ / Ror / Wnt / 細胞移動 |
Research Abstract |
受容体型チロシンキナーゼRor2はマウス初期胚において主に移動能の高い神経堤細胞、体幹の間葉系細胞に強く発現している。これまでにRor2欠損マウスの表現型について解析を行い、神経堤細胞、間葉系細胞によって形成される顔面及び中軸骨格・附属肢の形成異常が認められること、さらにRor2がWnt5aの受容体として機能し、脊椎動物の形態形成、細胞極性・運動を制御するPlaner cell polarity (PCP)経路の制御に関与することを見出した。また近年Wnt5aががんの浸潤能や創傷治癒に関与することが報告されていることから、本研究ではWnt5aによる細胞運動におけるRor2の役割に焦点をあて、創傷治癒のモデル実験系であるin vitro wound healing assayを用いて解析を行った。その結果、内在性にRor2を発現している細胞にWnt5a刺激を行うと細胞移動能が亢進した。この細胞運動におけるシグナル伝達経路について解析を行ったところ、Wnt5a刺激に伴いMAPキナーゼファミリーの一員であるJNKが活性化されること、またJNK特異的阻害剤によりWnt5aによる細胞移動能の亢進が抑制されることを明らかとした。また、RNA干渉法によりRor2の発現を抑制したところ、Wnt5aによる細胞移動能の亢進ならびにJNKの活性化が阻害された。以上からWnt5a-Ror2シグナル伝達経路がJNKを活性化することで細胞移動の制御に重要な役割を担うことを見出した。
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Research Products
(1 results)