2006 Fiscal Year Annual Research Report
食品成分によるアリール炭化水素受容体の形質転換抑制機構の解明
Project/Area Number |
06J00861
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
向井 理恵 神戸大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アリール炭化水素受容体 / AhR / ダイオキシン / フラボノイド / ポリフェノール / 生体内有効性 |
Research Abstract |
複数のパートナータンパク質と結合して細胞質に存在するアリール炭化水素受容体(以下、受容体はAhR、タンパク質との複合体はAhRcと略す)は、芳香族炭化水索が結合するとパートナータンパク質が解離し核へ移行する。その結果転写因子として働き、細胞内の代謝をかく乱する。本研究では、植物性食品成分がAhR形質転換を抑制することに着目し、その作用メカニズムならびに生体内での有効性について検討した。 1 植物性食品成分であるフラボノイドがAhRの形質転換を抑制する機構 (1)フラボノイドは基本骨格ごとに6つのサブクラスに分類されており、そのなかでフラボン、フラボノール、フラバノン、カテキンに属する化合物がAhRの形質転換を抑制することが知られている。これらの化合物とAhRcとの結合を検出したところ、いずれも結合することが明らかとなった。 (2)さらに、芳香族炭化水素の結合が阻害されているか否か検討したところ、フラボン、フラボノールのみが阻害効果を示した。 (3)次に、細胞内におけるAhRcに対するフラボノイドの影響を検討した。その結果、フラボン、フラボノールはAhRcの解離を抑制し、核移行をも抑制した。これらのことから、フラボノイドがAhRの機能に及ぼす影響はサブクラスごとに異なることが明らかとなった。 2 植物性食品抽出物が生体内でAHRの形質転換を抑制する可能性 (1)抗酸化性などの機能を有するカカオのAhR形質転換抑制効果を検討した。In vitroの評価系を用いてAhRのDNA結合活性抑制効果を検討したところ、カカオに含まれる成分のみならず生体内代謝分解物も有効であった。 (2)さらに、カカオ抽出物を経口投与したマウスを用いてAhR形質転換抑制効果を検討した。その結果、AhRの形質転換によって引き起こされる生化学的変化が抑制され、生体で代謝された成分であっても有効であることが明らかとなった。
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