2006 Fiscal Year Annual Research Report
ツェツェバエのトリパノソーマに対する生体防御タンパク質の機能解析と応用
Project/Area Number |
06J00895
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
芳山 三喜雄 独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫科学研究領域生体防御研究ユニット, 特別研究員(PD)
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Keywords | ツェツェバエ / トリパノソーマ / 抗原虫 / 眠り病 |
Research Abstract |
ツェツェバエ(Glossina morsitans morsitans)ESTから中腸特異的セリンプロテアーゼ遺伝子群に着目して解析を行った。5'RACEおよび3'RACE法でトリプシン、キモトリプシン(以下、GmmTry GmmChy)の完全長遺伝子を単離した。Real-time RT-PCRによる発現解析の結果、GmmTryは吸血の前後で大きな変化はみられなかった。一方、GmmChyは吸血後すみやかに発現量が上昇し、約48時間後にピークを示した。 さらに原虫感染したツェツェバエと非感染のものとでは、トリパノソーマ感染7日後に原虫感染中腸でのGmmChyの過剰な発現増加が見られた。以上のことから、ツェツェバエの中腸内において、キモトリプシンはトリパノソーマに対する生体防御に関与する可能性が示唆された。 さらなる機能解析のため、キモトリプシンインヒビターを吸血時に加え7日後の感染率を調べると、中腸内における著しい原虫数の低下がみられたことから、GmmChyのもつ抗トリパノソーマ活性がさらに支持された。今後、昆虫細胞において組み換えタンパクを生産させ、In vitroにおいて抗トリパノソーマ活性の詳しい機構を解明していく予定である。 また広く他の昆虫種における抗トリパノソーマ因子の探索も行った。台湾カブトムシとカイコの幼虫体液を回収しSePackカラムで分離し、In vitroで抗原虫活性を測定した。 両種体液のアセトニトリル0-20%フラクションがトリパノソーマ(T.brucei brucei)増殖抑制効果を示した。このフラクションの成分を検証するため、熱処理、ProtenaseK処理をおこなったが、抗原虫活性は失われなかった。今後、さらにこの生理活性因子の成分を同定していく予定である。
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