2007 Fiscal Year Annual Research Report
ツェツェバエのトリパノソーマに対する生体防御タンパク質の機能解析と応用
Project/Area Number |
06J00895
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
芳山 三喜雄 独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫科学研究領域生体防御研究ユニット, 特別研究員(PD)
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Keywords | ツェツェバエ / トリパノソーマ / 眠り病 / ビタミンB2 |
Research Abstract |
ツェツェバエによって媒介される眠り病は未だ有効なワクチンはなく、新規治療薬の開発が待たれている。近年昆虫由来の生理活性物質が注目されて医療方面で応用されている。将来のトリパノソーマ治療薬開発を目指し、多くの昆虫種からの抗トリパノソーマ因子の探索を行った結果、カイコ蛹から抗トリパノソーマ因子を得た。具体的には、カイコの蛹体液を回収しSePackカラムで分離し、In vitroで抗原虫活性を測定した。体液のアセトニトリル0-20%フラクションがトリパノソーマ(T.bruceibrucei)増殖抑制効果を示した。このフラクションの成分を検証するため、熱処理、ProtenaseK処理をおこなったが、抗原虫活性は失われなかった。さらに、このフラクションをHPLC精製したところ、シングルピークのフラクションを得た。ESI-MSとNMR解析によってこの生理活性物質の構造解析した結果、水溶性で黄色のRiboflavin(ビタミンB2)と判明した。RiboflavinはIn vitroにおいて全暗条件下では抗原虫活性は見られなかったが、光の照射によって抗トリパノソーマ活性があらわれることが確認された。Riboflavinは熱に強く、大量接種しても副作用がないことから、治療薬としての応用利用検討のためマウス感染実験を行った結果、In Vivoにおいてもマウス血中原虫数の減少、生存期間の延長が認められた。特に経口投与の場合は腹膜注射した場合より、高い効果を示した。今後は原虫への作用機構の解明などより詳細に研究を行っていく予定である。
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Research Products
(1 results)