2006 Fiscal Year Annual Research Report
木本種における窒素シンクサイズと葉からの窒素回収との関係
Project/Area Number |
06J00985
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
安村 有子 独立行政法人森林総合研究所, 植物生態, 特別研究員(PD)
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Keywords | 常緑種 / 落葉種 / 草本 / 窒素回収 / 季節変化 / 光合成 / 細胞壁 / 構造 |
Research Abstract |
・常緑種の葉の特性の季節変化 常緑広葉樹シラカシの葉の光合成能力と窒素分配が、どのように季節変化するかについて調査した。毎月一回、明条件と暗条件下に展開するシュートの当年葉、一年葉において、飽和光条件下の光合成速度と、クロロフィル含量、窒素含量、葉面積あたりの乾燥重量を測定した。夏から冬の終わりにかけて、明シュートの一年葉、暗シュートの当年葉と一年葉では、光合成能力や窒素含量に大きな変化は見られなかった。一方、明シュートの当年葉では、窒素含量は増加傾向であったにも関わらず、冬期に光合成速度が大幅に減少していた。直射日光にさらされるこれらの葉では、冬期にクロロフィル蛍光やクロロフィル含量が減少しており、光阻害によって光合成系の機能が低下していたものと考えられた。明シュートでも暗シュートでも、当年葉の葉面積あたりの乾燥重量は、夏以降、緩やかに増加していった。逆に、一年葉ではあまり変化はみられなかった。本調査は来年度の夏まで継続し、丸一年を通しての葉特性の変化を追跡する予定である。特に、春先には、新しい葉が展開し古い葉が枯死するため、光合成特性の急激な変化と窒素回収がみられるものと期待される。 ・木本種と草本種における窒素回収 葉の構造特性が、老化時における窒素回収にどう影響するかを、落葉種3種と草本種3種を用いて調査した。すべての種において、葉重のうち細胞壁の占める重さや、総窒素含量のうち細胞壁窒素が占める割合は、老化に伴って大きく増加した。従って、代謝に関係する窒素は優先的に回収される一方、細胞壁成分は回収されずに残り、葉が枯死するまで葉の構造を支えていることが示唆された(本研究は、オランダのユトレヒト大学の小野田雄介博士との共同研究である)。
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Research Products
(3 results)