2006 Fiscal Year Annual Research Report
廃棄物投棄リスクを考慮した都市近郊緑地の保全管理手法の構築
Project/Area Number |
06J00997
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
雨宮 護 筑波大学, 大学院システム情報工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 緑地 / 公園 / 廃棄物 / リスク / 保全 / 防犯 / 犯罪 / 逸脱行為 |
Research Abstract |
本年は,東京都板橋区の334公園を対象に,現地踏査に基づき,器物損壊や廃棄物の投棄といった公園で発生する逸脱行為の実態と行為発生に寄与する環境要因を明らかにした.苦情データの分析と現地での目視調査の結果,公園で起こる逸脱行為の中心的なものは「園地への廃棄物の投棄」や「公園施設へのヴァンダリズム」であること,「公園施設への落書き」,「公園施設へのヴァンダリズム」,「園地への廃棄物の投棄」,「園内への居住」の4行為のいずれかの痕跡が全公園の約7割で認められることなどを示した.そして,把握された実態と公園の特徴との関連性分析から,4つの逸脱行為の種類ごとに,公園の特徴によって行為の発生確率を推定するモデルを構築した.その結果,主たる抑制要因が認められなかった「公園施設へのヴァンダリズム」を除く3行為に比較的共通する要因として,促進要因として「公園の面積規模」等が見出された.また,抑制要因として「公園隣接地の住居系建物建蔽率」と「地域住民による公園管理団体の存在やその活動密度」が見出された.公園利用者や公園近隣の居住者等へのヒアリングをもとにその理由を考察したところ,周辺に住宅が高密に立地し,公園管理団体が活動する小規模な公園では,行為の抑制や回復に資する地域住民からの行動が起こりやすいことが推測された.以上から,特に小規模な公園にあっては,「公園に対する地域住民からのインフォーマルな統御」を強めることが,公園への廃棄物投棄を抑制する上で効果的であると考察した.次年度以降は,以上と同様のモデル分析を都市近郊部の緑地へ拡大しつつ,研究を継続していく予定である.
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