2006 Fiscal Year Annual Research Report
植物におけるMutT/nudixタンパク質ファミリーの分子特性と環境ストレス耐性
Project/Area Number |
06J01015
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
小川 貴央 近畿大学, 大学院農学研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | Nudix hydrolase / 酸化ストレス / ADP-ribose / NADH / ポリ(ADP-リボシル)化 / 酸化的DNA損傷 / 8-oxo-(d)GTP / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
現在までに、ADP-リボース,NADH加水分解活性を有するAtNUDX2および7の過剰発現により酸化的ストレス耐性能が向上すること、AtNUDX7破壊株は酸化的ストレスに対して感受性を示すことを明らかにした。そこで、細胞質型AtNUDX2,7と酸化ストレスとの関係を詳細に解析した。AtNUDX2過剰発現株ではコントロール株と同様に、パラコート(PQ)処理下でのポリ(ADP-リボース)量が増加していたが、β-NAD^+およびATP量の減少が顕著に抑制されていた。一方、AtNUDX7過剰発現株および破壊株では、通常条件下におけるポリ(ADP-リボース)量がコントロール株と比較してそれぞれ有意に上昇および低下していた。さらに、両株では通常条件およびPQ処理下におけるNADH量がそれぞれ減少および蓄積していた。これらのことから、AtNUDX2は酸化ストレスによるPARの活性化により生じた遊離のADP-リボースの分解によるβ-NAD^+やATPの供給により、AtNUDX7はNADHの代謝を介してPARを活性化することにより、それぞれ酸化ストレス耐性に寄与していることが示唆された。一方、これまでにシロイヌナズナ細胞質型Nudix hydrolaseの中で唯一AtNUDX1は8-oxo-dGTPase活性を示すことが明らかになっている。そこで、AtNUDX1遺伝子破壊株を用いて植物ゲノム中の8-oxo-G量を測定した。その結果、AtNUDX1破壊株におけるゲノム中の8-oxo-G量は通常条件下においても野生株より多く、PQ処理による酸化ストレスにより顕著に増加した。さらに、AtNUDX1は細胞質に局在することが明らかになった。これらのことから、シロイヌナズナにおいてAtNUDX1は、細胞質のヌクレオチドプールから酸化ヌクレオチドを除去することで、酸化的DNA損傷の修復に機能していることが明らかになった。
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