2006 Fiscal Year Annual Research Report
体温情報による養殖クロマグロの遊泳・消化に関する研究
Project/Area Number |
06J01022
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
久保 敏彦 近畿大学, 大学院農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | クロマグロ / 養殖 / 体温 / 小型記録計 / 人工配合飼料 |
Research Abstract |
これまでクロマグロ実験を行うとき,近畿大学のクロマグロ養殖現場である奄美漁場または串本漁場に行く必要があった。水温環境が異なる奄美漁場と串本漁場は水温変化が体温または魚体に及ぼす影響を調べる上で重要であるが,基礎実験を行う場合には実験設備が不足しているために不適当である。平成18年度は,まず,研究代表者の研究本拠地である白浜でクロマグロを飼育して,基礎実験を行える環境を整えた。現在も白浜漁場で実験可能な状況にある。 2つの実験課題の内の課題1.体温変化を用いた最適養殖環境の解明では,1年を通して水温が高く,安定した奄美漁場でクロマグロに餌を与えない状態で体温を測定した。絶食状態が1ヶ月以上続いても,代謝熱によってクロマグロの体温は水温よりも約1℃高く保たれた。さらに,白浜で尾叉長約3.0cmから40.0cmまでのクロマグロ仔稚魚および幼魚の体温を測定して,成長に伴う体温保持能力の変化について調べた。その結果,尾叉長約7.0cmからクロマグロは高い産熱能力を獲得し,尾叉長約15.0cmで温度保持能力が獲得されることが明らかとなった。解析によって得られた温度保持能力から,適切な沖出し(陸上養殖から海上生簀網養殖へ)時期を検討した。これらの結果については,平成19年度日本水産学会大会で2つに分けて発表して(口頭1,ポスター1),Fisheries Scienceに投稿する。 次に課題2.摂餌に伴う体温変化成分を用いた生餌と人工配合飼料の比較について報告する。現在,白浜漁場の1辺が12mの正方形生簀(深さ10m)2基でクロマグロを飼育している。一方の生簀には人工配合飼料を,もう一方の生簀には生餌のイカナゴを給餌し,各生簀の7尾の腹腔に小型記録計を挿入して体温情報を取得している。取得した温度情報から餌の成分が腹腔温上昇に及ぼす影響を調べて,腹腔温変化から人工配合飼料の良し悪しを考える。
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