2007 Fiscal Year Annual Research Report
水塊トレーサを利用したオホーツク海から親潮域への表層水輸送機構と物質輸送量の解明
Project/Area Number |
06J01162
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Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
小埜 幸子 Fisheries Research Agency, 北海道区水産研究所亜寒帯海洋環境部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 親潮域 / 水塊トレーサ / ^<13>C / ^<18>O / 根室水道 / オホーツク海 |
Research Abstract |
根室湾、根室水道およびオホーツク海域(Nライン定線)で重点的に観測を行い、昨年度の沖合域に次いで沿岸域の水温・塩分及びδ^<13>C・δ^<18>O値を取得した。これらの観測結果に基づいた解析により、以下の事を明らかにした。 1)親潮流域の最沿岸域では、春季に沿岸親潮水、夏季・秋季に宗谷暖流変質水が出現すると指摘されてきたが、これらの水塊を生成する源水塊を親潮水(東カムチャッカ海流水)・宗谷暖流水・東樺太海流水として、前年度までに分析した約2年分の海水サンプルのδ^<13>C・δ^<18>O値をもとに混合比を求めた。その結果、春季(3・5月)はオホーツク海から流出する東樺太海流水が50〜60%という高い混合比を示す一方、夏季(7月)は宗谷暖流水が40〜67%を占めるなど、源水塊の混合比は明確な季節変動を示した。また冬季(1月)の最沿岸域に現れた混合水の源水塊が、2005年は東樺太海流水と宗谷暖流水、2006年は親潮水と東樺太海流水と、組合せの変化が見られた。 1)2)で見積もられた混合比を元に、A-line上の観測定点A1-A5間について、オホーツク海から供給される表層水の流量を見積もった。実際には、海底直上10-100m(各測点間の水深による)を無流面とした地衡流計算で得た流速を用いて、310m深までの総流量を求めたのち、オホーツク海から流出する宗谷暖流水・東樺太海流水の混合比の和を掛けた。その結果、A1-A5間の流れは全体的に日下ら(2008)と同様西向きで、またオホーツク海の表層水の流量は、2005年1-3月は約1.9Sv、2005年5月-2006年1月は0.58-0.75Sv、2006年3月は0.21Svであった。それらが占める体積比は、全ての期間において最沿岸のA1-A2間で最も高くなったが、2005年1月は約96%と特に高かった。
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Research Products
(8 results)