2006 Fiscal Year Annual Research Report
水塊トレーサを利用したオホーツク海から親潮域への表層水輸送機構と物質輸送量の解明
Project/Area Number |
06J01162
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Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
小埜 幸子 (小熊 幸子) 独立行政法人水産総合研究センター, 北海道区水産研究所亜寒帯海洋環境部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 海洋物理 |
Research Abstract |
独立行政法人水産総合研究センター北海道水産研究所(以下北水研)で管理するモニタリング観測定線(厚岸沖A-line、能取沖N-line等)を主な観測海域として、水温・塩分など他のルーチン観測とともに、安定同位体^<13>C・^<18>Oの採水観測を行った。A-lineでは2007年1月、N-lineでは2006年5月および11月の航海にてそれぞれ乗船した。採水したサンプルは、2006年7月下旬および2007年2月下旬に北海道大学大学院環境科学院にて分析した。 米国海洋データセンターから公開されている歴史的データと、上記観測データを用いて、北海道東部沿岸域の水温・塩分の平均場やT-Sダイアグラムを作成し、水質分布の季節変動を解析した。解析結果の一部はシンポジウムで発表し、論文としてまとめた(当年度投稿中)。 δ^<13>C_<as>-δ^<18>O座標面上で、オホーツク海の宗谷暖流水、親潮の上流にあたる東カムチャッカ海流水等の同位体存在比の代表値を求め、北海道南東部沿岸域における各水塊の混合比の季節変動を明らかにした。また2)で得られた季節変化と比較し、水温・塩分分布では示されない変動がδ^<13>C_<as>-δ^<18>O分布に現れていないかを調べた。その結果、Hanawa and Mitsudera(1986)の水温・塩分による水塊分類で同じ沿岸親潮に属する水塊であっても、形成過程に経年変化および月変化があることが分かった。さらに、δ^<13>C_<as>-δ^<18>O座標面による水塊分類を亜寒帯循環系に応用し、より時空間スケールの大きな水塊混合への適用についてまとめた。解析結果は日本海洋学会の2006年度秋季大会および2007年度春季大会で発表した。これらの内容については近日中に投稿予定である。
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