2007 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロホンアレーを用いた信号分離フィルタに関する研究
Project/Area Number |
06J01250
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
村上 隆啓 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 独立成分分析 / ブラインド信号分離 / 畳み込み混合 / 時間構造 / 順序問題 / 組み合わせ最適化問題 / 誤差最小化フィルタ / 固有値問題 |
Research Abstract |
畳み込み混合モデルにおけるブラインド信号分離(BSS)に関する研究では,拡大行列を導入することによって,BSS問題を独立成分分析(ICA)問題と組み合わせ最適化問題の2つの小問題に分解して解く手法を提案した.本研究ではまず,畳み込み混合における信号のモデルを,現在及び過去のサンプルから成る拡大行列を用いて,瞬時混合モデルと同様の形式で表現した.これにより,BSS問題を,有効な解法が数多く提案されているICA問題として扱うことができるようになった.拡大行列にICA手法を適用して得られる信号は,互いに独立とはならないが,混合される前の原信号に未知のフィルタがかかった擬似独立成分であるとみなすことができる.次に,従来のICA手法では解決することができない順序の任意性問題について,この問題を,互いに独立な集合を探索する組み合わせ最適化問題として扱い,信号の時間構造を利用する手法を提案した. 上記の組み合わせ最適化問題と関連して,誤差最小化フィルタ(EMF)を提案し,その最適なフィルタを閉じた形で導出した.EMFは,2つの観測信号が与えられたときに,それぞれの信号に何らかのフィルタを適用して得られる出力間の差が最小となるフィルタの組である.これは,信号の本質的な類似度を測るための尺度として用いることができる.本研究では,EMFを有限長インパルス応答(FIR)フィルタによって構成し,また,EMF出力間の差を平均2乗の評価基準によって測った.こうすることで,EMFの設計に使用する評価関数の最小化問題が固有値問題へと帰着され,その最適な解が閉じた形で得られることを示した.
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Research Products
(2 results)