2006 Fiscal Year Annual Research Report
環境状態・生物選択・資源の3要素の相互作用から生じる自己調節フィードバックモデル
Project/Area Number |
06J01285
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
瀬戸 繭美 九州大学, 大学院理学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | フィードバック調節 / 環境恒常性 / 資源競走 / トレードオフ / 共存 / ガイア仮説 |
Research Abstract |
本年度の研究概要 申請者は生物と環境とが相互作用する中から環境が安定化していくフィードバック機構の存在を2種1資源1環境モデル研究によって示唆し、研究課題に「多種多資源系フィードバックモデル、物質循環と新加速度を考慮したフィードバックモデルへの拡張」を掲げてきたが、複雑な系に取り組む前に、本質的な理解のためには数学的な解析を先んじて行うことが必要という認識を持った。そこで、平成18年度は2種1資源1環境モデルの数学的な解析を行った。その結果、 1.1資源に対してトレードオフの関係にある2種の生物のうち1方でも環境状態に影響を及ぼす場合環境の恒常化と共存が生じる可能性がある 2.共存状態が確立すれば必ず環境の恒常性が保たれ、またその共存状態の安定性はバックグラウンドの環境状態(無生物的に決定)、環境状態に対する生物の影響力の強度、系に存在する資源の量に依存して変化する。 ことが明らかとなり、この結果は現在Journal of Theoretical Biologyに投稿中の状態である。また、日本地球惑星科学連合2006年大会、日本進化学会2006年大会、Japanese-Korean Joint Meeting for Mathematical Biologyの3つの学会でこの研究成果の報告を行ってきた。 今後の研究の展開 19年度は上記の研究課題への拡張を目標とするが、共存状態と環境の恒常化の数学的な解析においてはもっとも単純な2種1資源1環境モデルにおいても難しいことが分かったため、今後は多種多資源系に関しては数値的解析のみを行っていく方針である。また、物質循環を考慮したモデルに関しては現在窒素循環を考慮したモデルに取り組んでいる。
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