2008 Fiscal Year Annual Research Report
重力環境が植物のリグニン形成および二次細胞壁の形成に与える影響
Project/Area Number |
06J01326
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
玉置 大介 University of Toyama, 理工学教育部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 過重力 / リグニン / 二次細胞壁 / 木部 / マイクロアレイ / シロイヌナズナ / オーキシン |
Research Abstract |
植物が過重力刺激を感受し、リグニン合成を含め様々な抗重力反応に関連する遺伝子の発現を増加させるまでのシグナル伝達経路については不明である。これまでに私は、オーキシン応答性プロモーター(DR5)::GUS遺伝子を導入したシロイヌナズナを用いて、過重力刺激を与えた場合、花茎において明らかなGUS活性が観察され、GUS活性定量を行った場合も、コントロールに比べGUS活性の増加が見られることを明らかにした。このことから過重力刺激によって花茎において内生オーキシン量が増加することが示唆されていた。 そこで内生オーキシン量の変化が過重力刺激によるリグニン形成に関与するか否かを調べるために、摘芯処理を行ったDR5::GUS形質転換体に過重力刺激を与え、GUS染色を観察した。その結果、摘芯処理をした場合には、過重力刺激によって誘導されるGUS発現の増加は見られなくなった。このことは過重力処理によって引き起こされる内生オーキシン量の増加は摘芯処理により抑制されたことを示唆している。また過重力処理による内生オーキシン量の増加は茎頂からのオーキシンの流入によるものであることも示された。また摘芯を行ったシロイヌナズナ野生型の花茎においては、過重力刺激によってリグニン関連遺伝子の発現が増加しなかったことから、過重力刺激による花茎におけるリグニン形成の促進には内生オーキシン量の増加が関与することが示唆された。これまでの植物の抗重力反応の研究において、植物ホルモンの関与については明らかにされていなかった。しかし、本研究から得られた結果は、抗重力反応におけるオーキシンの関与の可能性を初めて示唆した。
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Research Products
(8 results)