2006 Fiscal Year Annual Research Report
二枚貝類のミトコンドリア両性遺伝と精子ミトコンドリアに関連した性決定機構の解明
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06J01368
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
小幡 麻友 三重大学, 大学院生物資源学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 精子 / ミトコンドリア / PGC / ムラサキイガイ / 生殖細胞 |
Research Abstract |
今年度はムラサキイガイにおける精子ミトコンドリア(M type)の伝達様式と性決定の関係について明らかにするため以下の研究を行った。 (1)2種類のM typeの子供への伝達 人工受精を行い、精子、未受精卵と、受精によって得られた幼生のM type塩基配列を、シーケンス解析、SNPs分析により決定した。子供には精子、未受精卵由来の2種類のM typeが伝達されることが証明された。また、子供に伝達されるM typeのほとんどは精子由来であった。成貝の生殖巣、閉殻筋におけるM type塩基配列をシーケンス解析によって決定した結果、成貝から卵ミトコンドリア(F type)と、2種類のM typeが検出された。以上の結果から、子供には卵ミトコンドリア(F type)と、精子由来M type、未受精卵由来M typeの、3種類のmtDNAが伝達することが明らかになった。 (2)始原生殖細胞のマーカーとしてのVasa遺伝子の単離 DUIでは精子ミトコンドリアは精巣に局在する。この事から、精子ミトコンドリアは初期発生中に始原生殖細胞(PGC)の分化部位に局在すると考えられる。二枚貝におけるPGCの位置は未だ特定されておらず、PGC特定のためのマーカーが必要である。 Vasa遺伝子はPGCを特定するマーカーとして多くの種で用いられている。ムラサキイガイでもVasa遺伝子をPGCのマーカーとして用いるために、生殖巣から総RNAを抽出した。さらにRT-PCRによってVasa-like遺伝子約3kbpのcDNAを単離し、塩基配列を決定した。他の動物種のVasa遺伝子と比較したところ、高い相同性が確認された。また、Vasa遺伝子に特徴的に見られる8個のモチーフも確認された。現在得られたVasa遺伝子のcDNA配列を利用してプローブを作成しており、in situ hybridizationに用いる予定である。
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Research Products
(3 results)