2007 Fiscal Year Annual Research Report
二枚貝類のミトコンドリア両性遺伝と精子ミトコンドリアに関連した性決定機構の解明
Project/Area Number |
06J01368
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
小幡 麻友 Mie University, 大学院・生物資源学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ムラサキイガイ / 精子 / ミトコンドリア / 始原生殖細胞 / 初期発生 / Vasa / mtDNA / 精子形成 |
Research Abstract |
昨年度、申請者は以下の新しい知見を得る事ができた。 1精子形成過程に伴う精子ミトコンドリアの選択的増幅:エストロゲン添加により精原細胞の増殖を促進した精巣における精子mtDNA量の変化を定量する実験系を構築した。エストロゲン投与区の精巣組織では、コントロール区に比べて精原細胞分裂頻度が有意に増加していた。またエストロゲン投与区ではコントロール区に比べて精子mtDNA量が平均10.7倍増加していた。以上の結果からムラサキイガイでは精子形成過程に伴って精子mtDNAが選択的に増幅されることが明らかになった。今後はGnRHやエストロゲン以外のステロイドホルモンを添加した際の精原細胞増殖、精子mtDNA量の変化を調べ、精子mtDNAの選択的増幅が精子形成過程のどの段階で促進されるのかを詳細に検討する予定である。 2 in situ hybridizationによるVasa遺伝子発現部位の決定と始原生殖細胞の特定:ムラサキイガイ初期胚における始原生殖細胞の位置を特定するために、in situ hybridizationを用いたVasa遺伝子発現部位の染色法を確立した。ムラサキイガイにおけるVasa遺伝子ホモログを他の動物種のVasa遺伝子配列と比較した結果、高い相同性が得られた。またvasa遺伝子特有の7個の保守的な領域も確認され、単離した遺伝子がVasaのホモログであることを確認した。特定された配列からプローブを設計し、生殖巣組織の切片でin situ hybridizationを行った結果、生殖細胞特異的なシグナルが得られた。本研究で用いたVasa遺伝子ホモログが、生殖細胞や始原生殖細胞のマーカーとして有用であることが示された。今後は初期胚をサンプルとしてwhole mount in situ hybridizationを行うことにより、各発生過程におけるvasa遺伝子の発現部位を決定する予定である。
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Research Products
(3 results)