2008 Fiscal Year Annual Research Report
神経変性疾患、特にパーキンソン病における活性窒素種の役割の解明と予防法の確立
Project/Area Number |
06J01371
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
小林 果 Mie University, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | パーキンソン病 / 活性酸素種 / 神経細胞死 / ドーパミン作動性神経細胞 / 活性窒素種 |
Research Abstract |
代表的な神経変性疾患であるパーキンソン病への活性窒素種・活性酸素種の関与が報告されているが、その役割は未だ明らかではない。パーキンソン病における活性窒素種・活性酸素種の役割を明らかにすることは、発症機構の解明のみならず予防法の確立に極めて有効である。本年度は、パーキンソン病の病態への関与が疑われる内因性神経毒ノルサルソリノールについて研究を行った。我々はノルサルソリノールがSH-SY5Y細胞に酸化的DNA損傷を引き起こし、その結果チトクロームc放出、カスパーゼ3活性化を介したアポトーシスを誘導することを証明し、世界で初めてノルサルソリノールの神経毒性に活性酸素の生成を介したDNA損傷が関与することを明らかにした。この成果は論文として報告している。また、全脳虚血再灌流により高度な酸化ストレスに暴露したサルの海馬を用いてプロテオミクス解析を行い、カルボニル化(代表的なタンパク質酸化修飾)を受けるタンパク質の同定を行った。その結果、酸化ストレスなど種々のストレスに対して細胞保護的な役割を果たす分子シヤペロン、Heat shock 70kDa proteinlが神経細胞死に先立って著明にカルボニル化していることを明らかにし、さらに469番目のアルギニンを新規のカルボニル化部位として同定しか。この成果は国際的な学術雑誌に掲載された。さらに、酸化ストレスによる黒質の神経細胞死の過程でどのようなタンパク質が酸化損傷を受けているのかを明らかにするために、全脳虚血再灌流による酸化ストレス暴露サルモデルの黒質を用いてプロテオミクス解析を行い、Mitchondrial stress-70 protein(Mortalin)などのタンパク質のカルボニル化か認められた。現在は、同定したタンパク質のカルボニル化について、経時的な変化を検討している。
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Research Products
(10 results)