2006 Fiscal Year Annual Research Report
神経変性疾患、特にパーキンソン病における活性窒素種の役割の解明と予防法の確立
Project/Area Number |
06J01371
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
小林 果 三重大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | パーキンソン病 / 活性窒素種 / 活性酸素種 / 誘導型一酸化窒素合成酵素 / Nuclear factor-κB / 神経細胞死 / ドーパミン作動性神経細胞 / ロテノン |
Research Abstract |
急速な高齢化社会の到来に伴い神経変性疾患の罹患率が急増しており、その原因の解明と予防法の確立が急務となっている。代表的な神経変性疾患であるパーキンソン病への活性窒素種・活性酸素種の関与が報告されているが、その役割は未だ明らかではない。パーキンソン病における活性窒素種・活性酸素種の役割を明らかにすることは、発症機構の解明のみならず予防法の確立に極めて有効である。本年度はドーパミン作動性神経細胞において、活性酸素によって誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)の転写因子であるNuclear factor-κB(NF-κB)が活性化し、iNOSが発現するという新しい一酸化窒素発生機構の証明を目的に研究を行った。実験は神経芽腫細胞株(SH-SY5Y)をロテノンで処理して行った。ロテノンはミトコンドリア呼吸酵素complex Iを阻害する働きがあり、パーキンソン病モデル動物の作成に頻用される。パーキンソン病における神経細胞死はアポトーシスであると考えられていることから、はじめにロテノンによるアポトーシス誘導を解析した。ロテノン処理細胞よりDNAを抽出し電気泳動を行い、アポトーシスの特徴的な指標であるDNA断片化を検出した。その結果ロテノン処理によってSH-SY5Y細胞にアポトーシスが誘導されることが明らかになった。さらにSH-SY5Y細胞をロテノン処理した後、核タンパク質を抽出し、ウエスタンブロット法を用いてNF-κBの核への移行を解析した。その結果、ロテノン処理細胞の核内においてNF-κB量の増加が認められた。これはロテノンによってNF-κBが活性化し核に移行したことを示している。以上よりロテノンが神経細胞内でNF-κBを活性化し、アポトーシスを誘導する可能性が示された。現在抗酸化剤によるNF-κB活性化の抑制効果およびNF-κBによるiNOSの発現誘導について検討中である。
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Research Products
(1 results)