2007 Fiscal Year Annual Research Report
神経変性疾患、特にパーキンソン病における活性窒素種の役割の解明と予防法の確立
Project/Area Number |
06J01371
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
小林 果 Mie University, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | パーキンソン病 / 活性酸素種 / 神経細胞死 / ドーパミン作動性神経細胞 / 活性窒素種 |
Research Abstract |
急速な高齢化社会の到来に伴い神経変性疾患の罹患率が急増しており、その原因の解明と予防法の確立が急務となっている。代表的な神経変性疾患であるパーキンソン病への活性窒素種・活性酸素種の関与が報告されているが、その役割は未だ明らかではない。パーキンソン病における活性窒素種・活性酸素種の役割を明らかにすることは、発症機構の解明のみならず予防法の確立に極めて有効である。本年度は、パーキンソン病モデル動物の作成に頻用されるドーパミン作動性神経毒6-ヒドロキシドーパミンが引き起こすアポトーシスおよび酸化的DNA損傷における金属イオンの役割を明らかにするため、神経芽腫細胞株(SH-SY5Y)および単離DNA断片を用いた実験を行い、6-ヒドロキシドーパミンが金属イオシを介した酸化的DNA損傷を引き起こし、その結果神経細胞死がおこる可能性を明らかにした。この成果については論文作成を行い現在投稿中である。またパーキンソン病の病態への関与が疑われる内因性神経毒ノルサルソリノールについて研究を行った。我々はノルサルソリノールがSH-SY5Y細胞にアポトーシスおよび酸化的DNA損傷を引き起こすことを明らかにした。ノルサルソリノールが神経細胞死を引き起こす機構についてはほとんど研究が行われておらず、本研究での成果は世界で初めてノルサルソリノールの神経毒性に活性酸素の生成を介したDNA損傷が関与する可能性を示すものである。現在、抗酸化剤を用いた実験でノルサルソリノールによる神経細胞死への酸化ストレスの関与を検討中である。さらに、全脳虚血再灌流により高度な酸化ストレスに暴露したサルの黒質を用いてプロテオミクス解析を行い、タンパク質発現量およびカルボニル化量の変化について検討を行っている。この研究により酸化ストレスによる黒質の神経細胞死の過程でどのようなタンパク質が酸化損傷を受けているのかを明らがにできる。
|
Research Products
(3 results)