2008 Fiscal Year Annual Research Report
新測定法による地磁気逆転・エクスカーションにおける地球磁場強度変動の研究
Project/Area Number |
06J01448
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
望月 伸竜 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 地質情報研究部門, 特別研究員(PD)
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Keywords | 地磁気逆転 / 古地球磁場強度 / 古地球磁場方位 / Ar-Ar年代 / タヒチ / 古地磁気学 / 逆転ライン / 低温消磁2回加熱ショー法 |
Research Abstract |
今年度は、タヒチ島で採取した合計34枚の溶岩に対する古地磁気方位測定・古地磁気強度測定・Ar-Ar年代測定を完了させるとともに、全データの解釈を行った。 古地磁気方位測定の結果を解析した結果、採取した34溶岩は「逆磁極(逆転開始期)→方位反転→正磁極(逆転完了期)」という方位変化を記録していた。方位反転は5回であり、1〜3回の方位反転が見られる他地域のデータよりも詳細に地球磁場変動を記録していると示唆される。34溶岩の中位・上位に位置する3溶岩のAr-Ar年代は、測定誤差の範囲内で重なった。これらの3溶岩の年代値の重み付き平均は769±20ka(2σ)であり、報告されているブルン-松山地磁気逆転の年代と一致する。一方、34溶岩の下位に位置する1溶岩のAr-Ar年代は845±18kaであった。これらの結果から、34溶岩はブルン-松山地磁気逆転の数万年前から逆転全体にわたる地球磁場変動を記録していることが明確になった。 新測定法(低温消磁2回加熱ショー法)による地球磁場強度の測定を行った結果、「磁場強度は振動するように大きく変化する(逆転開始期)→大幅に弱まる(方位反転期)→過去5百万年間の平均値なみに回復する(逆転完了期)」というブルン-松山地磁気逆転における磁場強度変動の全体像を復元できた。とくに逆転開始期からは、地球磁場強度と地球磁場方位に特定の相関(逆転ライン)が見出された。これは、新測定法を用いることで精度の良い古地磁気強度を得た結果、初めて判別できた逆転開始期における地球磁場の特性である。 以上の研究成果をまとめた論文を現在執筆しており、近日中に国際誌に投稿する予定である。地磁気逆転を記録する試料は地球磁場強度測定が難しいケースが多く、測定には計画を上回る時間を費やした。そのためエクスカーションを記録する溶岩に対する測定は行えなかった。
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Research Products
(5 results)