2006 Fiscal Year Annual Research Report
初期太陽系固体物質の形成に関する宇宙化学的研究と原始惑星系円盤進化への制約
Project/Area Number |
06J01453
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
倉橋 映里香 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 特別研究員(PD)
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Keywords | 26Al年代 / コンドリュール / 炭素質コンドライト / 初期太陽系固体物質 / 斜長石 |
Research Abstract |
初期太陽系固体物質の形成および進化を解明するためには,主要コンドライトの主要構成物質すべてに着目し,構成鉱物・組織・全岩化学組成・酸素同位体組成および形成年代について系統的な調査を行うことが必要である。 始原的炭素質コンドライトCO3.0 Yamato-81020に含まれるコンドリュールについて,全岩化学組成と構成鉱物の割合から全鉄量を求めた結果,FeOに富むタイプIIの全鉄量がFeOに乏しいタイプIに比べ顕著に多いことが明らかになった。COタイプIIの全鉄量は普通コンドライト中のタイプIIに比べて非常に多く,COコンドライトの特徴であると考えられる。Yamato-81020の26Al年代結果とコンドリュール全鉄量および岩石学的観察を用いて,コンドリュール形成プロセスを考察した。すなわち,太陽からの距離によるシリケイト・有機物・氷の挙動の相違,および時間進化に伴う星雲温度の低下を考慮し,コンドリュールの形成年代,全鉄量,コンドライトの酸化還元状態など主要な多様性を説明できるモデルを提案した。この結果について,69th Annual Meeting of Meteoritical Society,星間物質ワークショップ,惑星科学会秋季講演会で発表を行った。 また26Al年代測定を行ったコンドリュール中の斜長石について,詳細な岩石学的観察を行った結果,斜長石中のMg分布は不均質であることが明らかになった。斜長石中のMg拡散時間を過去の実験データを用いて推定した結果,母天体中でのMg拡散の可能性は否定できないことがわかった。しかし,個々のコンドリュールの年代データについて詳細に検討した結果,母天体における熱変成によるAl-Mg系の擾乱の可能性は極めて低いという結論に至った。この成果を38th Lunar and Planetary Science Conferenceにて発表した。
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