2007 Fiscal Year Annual Research Report
初期太陽系固体物質の形成に関する宇宙化学的研究と原始惑星系円盤進化への制約
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06J01453
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
倉橋 映里香 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 地質情報研究部門, 特別研究員(PD)
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Keywords | 初期太陽系 / 炭素質コンドライト / コカドリュール / 年代測定 / 短寿命放射性核種 / 26A1 / 斜長石 |
Research Abstract |
これまでの本研究において,始原的炭素質コンドライト(COコンドライト)に含まれるコンドリュールについて,26A1を用いた年代測定を行ってきた。その結果,COコンドライトに含まれるコンドリュールの多くを占めるFeOに乏しいタイプ1コンドリュールはLLコンドライトのコンドリュールとほぼ同時期(難揮発性包有物CAI形成後,150-250万年)に形成されたことが明らかになっている。 26A1年代のひとつの問題点として,年代測定を行った試料が熱変成を受けていた場合,26A1-26Mg系が乱されることになり,年代情報とはなりえないことが挙げられる。そこで,本研究で26A1年代測定を行ったコンドリュール中の斜長石について詳細な岩石学的観察を行った結果,MgO,Na_2Oに関して5種類の累帯構造で分類できることが明らかになった。ひとつのコンドリュール中に不均質および均質の組成分布が共存すること,自形の斜長石結晶は不均質の累帯構造を示すことから,この組成分布はコンドリュール固化の最終段階においてコンドリュールメルトから斜長石が結晶化する火成的成因で説明され,コンドライト母天体上での熱変成由来ではないという結論に至った。これにより,本研究で得られた年代結果が信頼できる情報であることが強く示された。この成果をGeochimica et Cosmochimica Actaに投稿した。 FeOに富むタイプ2コンドリュールについては,これまでに得た年代情報が少なかったため,新たに26A1年代測定を行った。その結果,CAI形成後200-300万年という結果が得られ,COコンドライトのタイプ1コンドリュールよりもわずかに若い年代を示すというこれまでの結果と一致するデータが得られた。この成果をWorkshop on the Chronology of Meteorites and the Early Solar Systemにて発表した。
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Research Products
(3 results)