2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J01473
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
仁木 千晴 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 人間福祉医工学研究部門, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 前頭葉 / 脳損傷 / 系列行為 / 物品の使用 / 意図的抑制 / 潜在的抑制 / 利用行動課題 |
Research Abstract |
人の行為には今まで学習してきたことの繰り返しが多く含まれる。そして、そのほとんどは単一の行為ではなく、複数のステップを踏んだ後に最終的な目標にたどり着く、系列行為である。前頭葉は「創造性」に関与している脳部位と一般的にいわれているが、それではなじみ深い、すでに学習された多くの行為の遂行には関与していないのであろうか?そこで本研究は、前頭葉における学習された系列行為のメカニズムを探るため、前頭葉損傷者を対象として、実物品を用いて実験を行った。その結果、学習され、脳にその手続きが貯蔵されていると考えられる系列行為(お茶入れ、手紙を書く等)を施行する際に、前頭葉損傷患者では健常者ではみられない行為エラーが観察された。、その内容は、ある系列行為とは関連のない物品がおかれている場合、その不必要な物品をも使用してしまうエラーである。健常者であれば多数の物品の中から必要な物品のみを選択して用いることができるが、前頭葉を損傷した場合、不必要な物品の使用の抑制が障害されることが考えられた。そこで前頭葉の抑制のメカニズムを詳しく調べるため、利用行動課題(Humphreys&Forde,1998)を前頭葉損傷患者に施行した。その結果、意図的に行為を抑制しなければならない時に困難を示す前頭葉損傷患者と、示さない患者が明らかとなった。考察として、利用行動課題で必要とされる抑制は意図的な物品使用の抑制であり、系列行為課題で必要とされる不必要な物品の使用の抑制は無意図的・潜在的なものである可能性が示唆された。ここから、前頭葉における二つの抑制のメカニズムが示唆された。
|
Research Products
(4 results)