2008 Fiscal Year Annual Research Report
光合成細菌を利用した環境有害物質バイオモニタリングシステムの基礎技術構築
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06J01481
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
塚谷 祐介 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 生物機能工学研究部門, 特別研究員(PD)
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Keywords | 光合成細菌 / 電子伝達系 / バイオセンサー / 銅蛋白質 / 繊維状非酸素発生型光合成細菌 / 紅色細菌 |
Research Abstract |
今年度は、繊維状非酸素発生型光合成細菌Roseiflexus castenholziiにおける光合成電子伝達系解明に向けた基礎研究を重点的に行った。大腸菌大量発現系を利用して、R.castenholzii由来の銅蛋白質オーラシアニンを単離精製した。近縁種Chloroflexus aurantiacusは2種類のオーラシアニンを持つことが知られているが、ゲノム解析の結果からはR.castenholziiは1つのオーラシアニンしか持たないことが示された。分光学的諸性質を調べたところ、R.castenholziiの銅蛋白質は、C.aurantiacusがもつ2種類のオーラシアニンの性質を併せ持つような銅蛋白質であることが分かった。これは、C.aurantiacusが光合成と呼吸で異なる銅蛋白質(電子伝達体)を用いているのに対して、R.castenholziiの銅蛋白質がどちらの電子伝達系でも機能しうることを示唆するものである。今後は電子伝達系におけるこの銅蛋白質の作用機序を同定することが重要な課題である。毒物センサの応答試験に関しては、有害物質の対象範囲を拡げさらにセンサの熱安定性を向上させるために、好熱性細菌であるC.aurantiacusの素子への応用を検討し、測定条件の最適化を行った。今後R.castenholziiも利用した場合、バイオセンサ素子として2種の繊維状光合成細菌が異なる毒物応答パターンを示すことが予想され、マルチセンサ型素子への発展が期待される。
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Research Products
(3 results)