2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J01562
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
三谷 奈見季 Okayama University, 資源生物科学研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ケイ酸 / イネ / トウモロコシ / トランスポーター |
Research Abstract |
イネの根から新たに単離されたケイ酸トランスポーターLsi2は11個の膜貫通ドメインを持ち、アニオントランスポーター様のタンパク質をコードしている(Ma, et. al.,2007)。Lsi2は先に単離されたLsi1との相同性はなく、イネゲノム上に存在するいくつかの相同遺伝子の機能も明らかにされていない。そこで、Lsi2の機能解析をアフリカツメガエル卵母細胞発現系を用いて行なった。Lsi1とは異なりLsi2にはケイ酸の内向きの輸送活性は見られなかった。共同研究者の実験結果よりLsi2はイネの根の内皮細胞と外皮細胞の向心側にLsi1と対をなすように局在していることが明らかとなっていたため、次にケイ酸排出能を調べた。その結果Lsi2はケイ酸の排出能を持っていることがわかった。また、Lsi2タンパク質のケイ酸輸送活性は低温処理や、CCCP、FCCP、2,4-DNPなどのプロトノフォアによって低下した。更にケイ酸の輸送活性は外液のpHの増加に伴い減少した。これらのことからLsi2は細胞内外のプロトンの濃度勾配を利用してケイ酸を能動的に排出する輸送体であることが明らかになった。以上の結果は2007年7月、Nature誌に発表した。 またLsi1、Lsi2の相同遺伝子(ZmLsi1、ZmLsi2)をトウモロコシから新たに単離した。トウモロコシもケイ酸を積極的に吸収する植物のひとつである。RT-PCRによりZmLsi1、ZmLsi2のmRNAの発現部位を調べたところともにイネと同様、根で発現していた。ケイ酸の前処理によりトウモロコシのケイ酸吸収は3日目以降低下した。このときのZmLsi1、ZmLsi2のmRNAの発現量をreal-time PCRで調べたところZmLsi1は変化しなかったが、ZmLsi2はケイ酸処理3日目以降低下した。イネではLsi1、Lsi2ともにケイ酸処理によりその発現が低下することが報告されている。更に共同研究者によってZmLsi1は根の表皮細胞と皮層細胞に、ZmLsi2は内皮細胞に局在していることが明らかにされており、これらのことからトウモロコシにはイネに見られるようなLsi1とLsi2の協調した働きが見られないことによってイネほど効率よくケイ酸の吸収が行えていないと考えられる。これらの結果は2007年8月の日本土壌肥料学会年会、および2008年3月の日本植物生理学会年会で報告した。
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Research Products
(5 results)