2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J01562
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
三谷 奈見季 岡山大学, 資源生物科学研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | イネ / ケイ酸 / トランスポーター / 基質特異性 / NIP |
Research Abstract |
イネの根から単離したケイ酸輸送体Lsi1は6つの膜貫通領域を持ち、アクアポリンのNIPサブファミリーに属する(Ma et al.,2006)。アフリカツメガエルの卵母細胞(oocyte)を用いて、Lsi1の輸送特性を調べた。まずLsi1のケイ酸輸送のkineticsを調べたところ外液中のケイ酸濃度の増加に伴って細胞内への輸送活性が直線的に増加した。このことはLsi1が濃度依存的にケイ酸を輸送していることを示している。次に、Lsi1の基質特異性を調べるため、ケイ酸と同じく中性条件下で電荷を持たない中性分子で存在しているグリセロール、尿素、ホウ酸の輸送活性を測定した。NIPの中にはこれらを透過するものがこれまでにいくつか報告されている。Lsi1はグリセロールに対して輸送活性を示さなかったが、尿素やホウ酸に対して輸送活性を示した。しかし、ケイ酸と等モルの尿素の共存下でケイ酸の輸送活性が影響されなかった。また等モルのホウ素の共存下で、ケイ素の輸送活性は20%減少した。これらのことはLsi1がケイ酸に対して高い親和性を持っていることを示している。さらにLsi1の双方向性について検討したところ、ケイ酸の輸送に関して双方向性が認められた。また、イネのケイ酸吸収は水銀処理や低温処理により阻害されることからLsi1の輸送活性に及ぼすこれらの影響も検討した。塩化水銀の共存下でLsi1のケイ酸の取り込みは約60%低下した。これに対して、低温処理による影響は認められなかった。さらにNIPサブファミリーの他のタンパク質についてもケイ酸の輸送活性を調べた。Lsi1を含むサブグループ(イネのLsi1とOsNIP2;2、トウモロコシのZmNIP2-1、ZmNIP2-2)はすべてケイ酸の輸送活性を示した。しかし、異なるサブグループのNIP(イネOsNIP1;1OsMP3;1)はケイ酸の輸送活性を示さなかった。本年度はinflux型ケイ酸輸送体Lsi1の輸送特性の解析を中心に機能解析を行い、以上述べたことを明らかにした。これらの結果は日本土壌肥料学会(9月、秋田)と日本植物生理学会(3月、松山)で、口頭発表した。
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Research Products
(2 results)