2007 Fiscal Year Annual Research Report
日本中世芸能「能」の音楽研究-能管の音楽伝承とその変容-
Project/Area Number |
06J01568
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
森田 都紀 Tokyo Gakugei University, 教育学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 日本音楽史 / 音楽研究 / 芸能 / 能 / 伝承 / 唱歌 / 能管 |
Research Abstract |
本年度は、能管の音楽伝承のうち、主として現行伝承に着目して研究を進めた。 現行伝承の特色として、技法に流儀としての規範が確固として確立しているにも関わらず、その内部では演奏者が個をより主張することに重きを置いているという実態が指摘できる。実際の演奏に、いわばヴァリエーションともいえるような違いが生じているのであり、これは、流儀の規範が構築されている現状に一見矛盾しているようにも見受けられるのである。 こうした現行の演奏および伝承実態を解明するために、主として、東京・大阪・京都で行われた舞台を可能な限り観劇して、実演のフィールドワークを行って分析した。フィールドワークで補いきれない点に関しては、補助資料として、すでに販売されている映像資料や音源資料を購入して使用したり、必要に応じて能楽師にインタビューを行ったりもした。 その結果、同一流儀であっても、例えば関東と関西といった地域によって技法の細部が異なっており地域差としての特徴が存在すること、あるいは同一流儀の中でも、演奏者の属する「家(系統)」さらには演奏者個人によっても、個性とも呼べるような技法が工夫されて編み出されていること、そして、こうした工夫を施すことができるのは、技法の流儀の領域に相当する部分ではなく、そこから外れたかなり細部の箇所に限られていることなどを、具体的な音レベルから解明した。 調査を進める中で、詳細な音響分析が必要であると判断されたので、SDレコーダー等を購入したまた、必要とされた映像資料・音源資料についても、CD/DVD/VHS等に複写する作業も同時に行った。
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Research Products
(2 results)