2006 Fiscal Year Annual Research Report
重症心身障害児の初期コミュニケーションの支援に関する生理心理学的研究
Project/Area Number |
06J01590
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
渡邉 流理也 東京学芸大学, 学校教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 重症心身障害児 / コミュニケーション / NIRS / 心拍期待反応 |
Research Abstract |
本研究では、重症心身障害児(以下、重症児と記す)の日常の学校授業場面でなされる働きかけの受容状態を言語領域の賦活状態から分析し、働きかけが受容しやすい状態について検討を行う。さらに有効と考えられる支援方法を作成し、実際に授業場面で実施し、支援方法の有効性の検討から重症心身障害児の初期コミュニケーション支援について考察することを目的とする。 そこで本年度は、肢体不自由養護学校に行き、NIRS法と心拍測定を重症心身障害児25名に実施した。NIRS法では、聴覚刺激を利用した言語課題による言語領域の応答特性について検討を行った。また、心拍測定は、重症児が受動的にS1刺激を受動する条件とS1条件を自ら生成する条件の2条件を実施した。さらに、これら生理指標以外に、対象児の日常の言語に関する行動特徴を保護者に質問紙調査を実施した。質問紙の分析と、NIRS法の言語領域の応答性の関連性を検討した結果、言語の受容と表出の行動特徴において比較的評価が高くされた重症児では、日常生活でよく耳にする単語を通常に再生して聞かせた場合と逆から再生した場合に、言語野の応答様相において異なる賦活特徴を示したことが明らかとなった。 次年度は、重症児の言語領域の応答特徴について、さらに分析するために、類似する課題を健常成人で測定し、その関連より、重症児の言語受容について検討を行う。また、まだ分析中である心拍データの分析と、質問紙データ、NIRSデータについて再分析を行う。それにより、従来なされてきた心拍期待反応の知見と、本研究で測定した心拍反応とNIRSによる言語領域の応答特徴を検討し、重症児の初期のコミュニケーションの支援方法について考察する予定である。
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