2007 Fiscal Year Annual Research Report
重症心身障害児の初期コミュニケーションの支援に関する生理心理学的研究
Project/Area Number |
06J01590
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
渡辺 流理也 Kanazawa University, 人間社会環境研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 重症心身障害児 / 心拍指標 / NIRS / 初期コミュニケーション |
Research Abstract |
重症心身障害児(以下、重症児と記す)の日常生活では言語的な働きかけが頻繁になされるが、それら言語刺激の受容に関する研究はまだ十分にされていない。したがって、従来、誘発電位法や心拍指標によって検討されてきた重症児の呼名に関する研究から、さらに、より言語的な意味理解を含めた言語刺激に対する応答について検討し、重症児の初期的なコミュニケーション機能を評価する必要がある。この点について、脳機能測定法であるNIRSを利用することにより、重症児の日常的な言語刺激に対する言語関連領域の賦活様相を明らかにすることが可能である。これら言語関連領域の賦活様相の変化と行動上での表出行動の生起および従来研究されてきている心拍期待反応との関連について検討し、重症児の初期のコミュニケーション能力の評価・支援を検討する事を本研究の目的とした。 その結果、行動上でコミュニケーション能力が高いと評価された事例群では、言語関連領域での賦活が顕著に見られた事例が多かった。特に、ブローカ領域、ウェルニッケ領域に該当する両部位で賦活が顕著であった。一方、行動上でコミュニケーション能力が低いと評価された事例では、心拍期待反応の生起様相によりさらに2群に分かれた。この中でも期待反応が比較的明瞭に表われた事例では、言語関連領域で賦活が見られたが、期待反応が乏しい事例では、言語関連領域での賦活が不明瞭であった。これらのことから、重症児の中でも言語刺激に対する応答が行動上で不明瞭である事例であっても、心拍期待反応が活発に見られる事例では、言語関連領域が活性化されている可能性が考えられ、日常生活場面でのより期待反応の促進を支援することで、言語に関連したコミュニケーション能力も促進されていくことが考えられた。
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Research Products
(2 results)