2006 Fiscal Year Annual Research Report
独立成分分析と構造方程式モデリングの統合:新しい多変量解析のフレームワーク
Project/Area Number |
06J01610
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
清水 昌平 統計数理研究所, 数理推論研究系, 日本学術振興会特別研究員PD
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Keywords | 独立成分分析 / 構造方程式モデリング / 非正規性 / 独立性 / 逐次モデル / 探索的分析 / 観察データ / 統計的因果推論 |
Research Abstract |
研究代表者はこれまで、非正規性を利用し観測変数間の逐次モデルを探索する手法を提案した。独立成分分析(ICA)の特徴である非正規性の積極利用が、社会科学の調査データの解析においても、大変有効であることが明らかになった。しかし、まだ研究すべき課題は多く残っている。例えば、観測変数間の逐次モデルの探索法を潜在変数のある場合に拡張すること等である。潜在変数問の関係の吟味は、構造方程式モデリング(SEM)の得意とするところである。ICAとSEMのより有意義な統合(非正規構造方程式モデリング、nonnormal SEM)を試みた。 データの非正規性を積極的に利用することによって、観察研究に基づく因果分析へ応用されている線形逐次モデルを一意に識別できることを示した。これは、陰に陽に正規分布の仮定に基づく従来法では不可能なことであった。さらに、このフレームワークの未観測交絡変数が存在する場合への拡張を試みた。観察データに基づく因果分析においては、未観測交絡変数の存在が分析結果を大きくゆがめてしまうことが指摘されている。非正規性の積極的な利用は、このような分析の難しいケースにも従来法よりも、より多くの情報をデータから引き出せることがわかった。 また、この非正規性を用いる因果分析法とも関係の深い、Independent subspace analysisの特殊形の1つである、variance-dependent component analysisのための新しい推定方法を提案した。 これらの結果は、雑誌論文(1件)、国際会議議事録(2件)として出版済あるいは予定である。なお、これらの研究は主に、在外研究を行ったフィンランド国ヘルシンキ大学のHyvarinen博士の研究グループとの共同研究の成果である。
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Research Products
(1 results)