2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J01630
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山内 祥生 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 助手
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Keywords | オートファジー / A郡レンサ球菌 / 脂質代謝 / 脂質生化学 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、オートファジーと脂質代謝との相関関係を脂質生化学的に明らかにすることである。そこで、本年度は、オートファジーに伴う脂質代謝の解析に必要な試料を準備するとともに、脂質合成の変化について観察を行った。 SREBPは、細胞内の脂質含量が低下すると活性化され、脂質合成を司る遺伝子群の転写を活性化することで脂質合成を亢進する。SREBPの活性化は、転写活性を有するドメインが2種類のプロテアーゼによって切断され、転写活性ドメインが核内に移行することでと調節されている。そこで、オートファジーによる脂質代謝の変化を観察する1つの指標としてSREBPの活性化を検出できる抗体を調製した。細胞を脂質飢餓状態にすることで、SREBPの活性が観察され、オートファジーによる脂質代謝変化の観察に用いることができると判断した。 オートファジーは、一般的に栄養飢餓によって誘導されることが知られているが、最近、細菌感染に対する免疫反応としても機能していることが明らかになった。細胞内に侵入したA郡レンサ球菌は、オートファゴソーム膜によって取り囲まれ、最終的にリソソームにて消化される。オートファゴソームの形成は、感染したA郡レンサ球菌を細胞内で消化する上で重要であるが、その膜形成メカニズムはほとんど明らかになっていない。オートファゴソーム膜の形成に必要な脂質供給メカニズムを明らかにする目的で、A郡レンサ球菌感染後の脂質合成の変化を観察した。その結果、A郡レンサ球菌の感染に伴い細胞の脂質合成は顕著に減少していることが示され、新規に合成された脂質がA郡レンサ球菌感染に伴うオートファゴソームの形成には関与していないと考えられ、別の経路によってオートファゴソームの形成に必要な脂質は供給されると考えられた。
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