2006 Fiscal Year Annual Research Report
関節リウマチ発症の原因遺伝子であるシノビオリンの遺伝子発現制御機構の解明
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06J01632
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
藤田 英俊 聖マリアンナ医科大学, 難病治療研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 慢性関節リウマチ / リウマチ滑膜細胞 / Synoviolin / 遺伝子発現 / プロモーター / 小胞体ストレス / アポトーシス / ERSE |
Research Abstract |
慢性関節リウマチ(RA)では、滑膜組織における炎症とともに、滑膜細胞の顕著な増殖が関節破壊に重要である。正常な関節では、それを構成する滑膜細胞の増殖による供給とアポトーシスによる細胞の除去という細胞機能のバランスによってホメオスターシスが保たれている。RAでは、このホメオスターシスがくずれ、滑膜細胞が過増殖すると考えられている。 近年、RA滑膜細胞の増殖とアポトーシスを制御する因子としてシノビオリンが同定された。シノビオリンは、マウスでの強発現により滑膜増殖性の関節炎を誘導する。逆に、発現抑制では滑膜細胞にアポトーシスを誘導し、コラーゲン誘導性関節炎に対して抵抗性を示した。シノビオリンは小胞体に局在するE3ユビキチンリガーゼであることから、その機能は小胞体ストレスにより蓄積した小胞体内の不良蛋白質の分解・除去の制御であった。シノビオリンの発現制御機構については、恒常的な発現に必須な領域が同定され、その領域に結合する転写因子Etsが得られている。また、小胞体ストレスに応答する領域(ERSE)が同定され、実際に、小胞体ストレスによりシノビオリンの発現量が上昇することが培養細胞にて明らかにされている。しかしながら、シノビオリンの発現制御機構については明らかとされていない。 本研究では、シノビオリンの遺伝子発現機構を明らかにすることを目的として以下のことを行った。まず、シノビオリンのプロモーターに結合する新規因子を同定するために、大量のHeLa細胞、および、リウマチ滑膜細胞を培養して、その核抽出液を精製した。また、シノビオリンプロモーター内のERSE領域をGFPにつないだ遺伝子過剰発現マウスを作製し、現在バッククロスを行っている。さらに、シノビオリンの機能からその遺伝子発現制御を推測するために、シノビオリンと結合する因子を探索している。一方で、シノビオリンが癌抑制遺伝子であるp53の細胞質内での安定性を制御することを明らかとした(Yamasaki et al, EMBO J.)。
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Research Products
(1 results)