2006 Fiscal Year Annual Research Report
吸引通気式堆肥化の発酵促進技術と熱利用技術の開発及び導入要件の検討
Project/Area Number |
06J01659
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
宮竹 史仁 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産牧草地研究所資源化システム研究チーム, 特別研究員(PD)
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Keywords | 吸引通気式堆肥化 / 最適発酵条件 / 発酵排熱 |
Research Abstract |
本研究は堆肥化過程で発生するアンモニア等の環境負荷ガスの捕集・回収に効果的な「吸引通気式堆肥化方法」の科学的理論の構築ならびに発酵排気熱による熱エネルギ利用技術を付加した新堆肥化システムの実用化を目指すことが目的であり、以下2点について重点的に研究を推進した。 1点目は、吸引通気式堆肥化の発酵促進に不可欠な最適条件(温度、通気量、含水率)を検索および提示することであった。その結果、吸引通気式堆肥化の最適温度は約55℃であり、その温度で堆肥化微生物の増殖は活性化した。最適通気量は0.6L・min^<-1>・kg-vm^<-1>(vm ; volatile matter)以上が望ましく、0.2L・min^<-1>・kg-vm^<-1>以下で嫌気性反応を誘発する可能性があった。含水率に関しては、約60%付近で微生物活性が増加したことから、約60%前後が最適含水率と考えられた。また含水率46-70%間まではほぼ順調な初期発酵の進行が観測されたが、含水率70%以上では急激に反応が抑制されたことから70%が吸引通気式堆肥化における上限含水率と考えられた。 2点目は、吸引通気式堆肥化の発酵排熱による熱エネルギ利用を図る為に、発熱量および排熱量等の基礎的知見を獲得することであった。その結果、堆肥材料の含水率が高くなるほど吸引通気式堆肥化過程における発熱量が上昇する傾向にあり、その最大含水率は約70%であった。また通気量が大きいほど発熱量および排熱量が上昇する傾向にあつたが、通気量の増加は材料温度の低下も同時に引き起こし、持続的かっ安定的な熱エネルギ利用を可能にするためにはより精緻な研究知見の蓄積が必要である。 以上により、本研究は「吸引通気式堆肥化」の発酵促進化および熱利用技術を調査することにより、堆肥の製造のみならず発酵排熱利用技術を加味した新堆肥化システムの構築に関する知見を得られた。
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