2006 Fiscal Year Annual Research Report
非侵襲的脳機能イメージング法を用いた体性感覚認知過程における時空間識別能の解明
Project/Area Number |
06J01752
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
赤塚 康介 総合研究大学院大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 体性感覚 / 空間的二点識別 / 時間的二点識別 / 脳磁図 / ミスマッチ電位 |
Research Abstract |
ヒトの体性感覚を研究していく上で有用な方法として二点識別閾測定法がある。二点識別閾測定法とは、刺激が二点であったか一点であったかを識別させる方法である。これまでの先行研究より、二点識別閾に関しては末梢の受容器、大脳皮質や高次の認知機能などの関与が示唆され、体性感覚認知機能を調べる為の重要な臨床テストとして今日では行われている。しかしながらその二点識別に関する詳しいメカニズムはいまだにはっきりとは分かっていない。今回、空間的な二点識別に関する自動的二点識別検出機構を解明することを目的として脳磁図を用いて測定を行った。その結果、標準刺激を一点と感じ逸脱刺激を二点と感じるような場合、又は標準刺激を二点と感じ逸脱刺激を一点と感じるような場合に、逸脱刺激後30-70ms、150-250msにミスマッチ反応が記録された。しかし、標準刺激と逸脱刺激共に一点と感じる場合、又は標準刺激と逸脱刺激共に二点と感じるような場合にはミスマッチ反応は記録されなかった。したがって、標準刺激、逸脱刺激が一点か二点かを自動的に判別したときにだけミスマッチ反応が誘発されたと考えられる。また、この実験により誘発されたミスマッチ反応は一次体性感覚野と二次体性感覚野に信号源が推定された。このことは、聴覚刺激を用いた実験においても聴覚刺激に対して主要な反応を示す一次聴覚野、二次聴覚野に信号源が推定されることと同様に、刺激に対して主要な反応を示す部位がミスマッチ反応には関与していることを示唆するものと考えられる。今回の研究により、時間的または空間的な二点識別に関して刺激に注意を向けない状態でも誘発される体性感覚ミスマッチ反応を測定することができた。この方法により、臨床の場において験者の技術的な問題や被験者の内因的な問題に結果の左右されることのない神経生理テストとして利用することが可能であると思われる。
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Research Products
(1 results)