2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J01832
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
廣瀬 薫雄 埼玉大学, 教養学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 古代思想史 / 史科学 / 古文書学 / 国際情報交換 / 中国 |
Research Abstract |
1、2006年6月28日より31日にかけて、中国湖北省の武漢大学において開催された国際シンポジウム「新出楚簡国際学術研討会」に参加し、本シンポジウムにおいて論文「何謂"競建内之"」("競建内之"の意味について)を発表した。この論文によって、「競建内之」とは「競建(人名)がこの書物を献上した」という意味であることを明らかにした。またこの研究によって、戦国時代の書物には、誰がこの書を献上したかがときとして記される場合があることが明らかになった。 2、2006年11月4日より6日にかけて、中国北京市の中国社会科学院において開催された国際フォーラム「簡帛学論壇」に参加し、本フォーラムにおいて「更徭辨」(更と徭の區別について)を発表した。この論文によって、漢代の労役には「更」と「徭」という二種類があり、日常の正規業務を「更」といい、臨時の出張業務を「徭」ということを明らかにした。 3、2006年11月8日より10日にかけて、中国湖北省の武漢大学において開催された国際フォーラム「中国簡帛学国際論壇」に参加し、本フォーラムにおいて「包山楚簡《受期》"〓門又敗"再探」(再び包山楚簡《受期》の"〓研門又敗"について考える)を発表した。戦国時代の楚の国では、命令を下す際に命令文の最後に「〓門又敗」という決まり文句を付けることが知られていたが、これまでその意味が分からなかった。本論文により、この四文字は「(もしこの命令を期日とおりに実行しなければ)、取り調べに支障が出てしまう」という意味であることを明らかにした。 4、6月、11月の二度の訪中の際に、中国の研究者と情報を交換し、新たに出土した秦漢時代の文字史料について情報を交換した。 5、雑誌『簡帛』第一輯上に論文「新蔡楚簡所謂"〓書"簡試析--兼論楚国量制」(新蔡楚簡のいわゆる"〓書"簡についての分析--兼ねて楚国の量制を論ず)を発表。この論文によって、戦国時代の楚の国の度量衡のうちの量の制度がどのようなものであったのかを明らかにした。
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