2008 Fiscal Year Annual Research Report
DNA合成酵素の分子種特異的阻害物質の探索とケミカルノックアウト解析
Project/Area Number |
06J01887
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
栗山 磯子 Kobe Gakuin University, 食品薬品総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | DNA合成酵素 / 阻害剤 |
Research Abstract |
これまでに、細胞内に導入するために、Humaninに塩基性ペプチドをつけた物質の化学合成を行い、この塩基性ペプチドをつけたHumaninがより強く阻害することがわかった。マウス線維芽細胞であるNIH3T3細胞を用いてHumaninの細胞毒性試験を行い、実験に使用するHumanin濃度は2μMが適当だと考えられた。DNA損傷を起こしていないNIH3T3細胞へHumaninを加えてからの培養時間、固定方法、浸透の時間等の細かい条件を検討し、最適な条件を見いだした。DNA損傷には紫外線照射が最も効率的で簡便であるが、その種類はA、B、Cの3種類があり、その紫外線によって引き起こされるDNA損傷は異なっている。本研究においては、302nmが有効だと考えられた。細胞に最適な方法でDNA損傷を起こし、Humaninを加えて、DNAポリメラーゼ抗体や複製に関与するタンパク質抗体を用いてその時間的空間的増減を調べた。また、他のDNAポリメラーゼ特異的阻害剤(申請者の研究室で見出したDNAポリメラーゼα特異的阻害剤であるDehydroaltenusinやC12など)と併用することにより、DNAポリメラーゼ分子種のダブル・ノックアウトを行うことで、DNA合成(すなわちDNA複製と修復)に関わるDNAポリメラーゼ分子種の働きを直接的に調べた。DehydroaltenusinとC12は、DNAポリメラーゼδやεを阻害せず、DNAポリメラーゼαのみを阻害するため、複製フォーク停滞につながり、さらにリーディング鎖とラギング鎖合成のアンカップリングを引き起こすと考えられた。実際に、C12が細胞内に取り込まれた後、1本鎖DNAが曝されている証拠であるRPA fociの蓄積を観察した。これらの結果から、C12は哺乳動物細胞の複製フォーク進行における研究のための安定したツールであることが示唆され、同時にDNAポリメラーゼα阻害活性を基にした抗癌剤としての有用性が期待された。
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Research Products
(5 results)