2008 Fiscal Year Annual Research Report
Epstein-Barrウイルスの複製に伴う宿主細胞応答の解析
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06J01906
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
工藤 あゆみ Aichi Cancer Center Research Institute, 腫瘍ウイルス学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | Epstein-Barr Virus / 溶解感染 / 宿主DNA複製 / RPA2 / DNA損傷 / DNA修復 / 相同組み換え / タンパク質修飾(リン酸化) |
Research Abstract |
RPAは3つのサブユニット(RPA1,RPA2,RPA3)から成る蛋白質複合体で、一本鎖DNAに結合する。DNA複製において各段階でRPAは重要な働きを持つ。さらにDNA組み換え修復、遺伝子発現等のDNAを器質とするさまざまな反応に関与する多機能因子であることが知られている。RPA複合体の一つRPA2サブユニットは特に細胞周期信仰やDNA損傷存在かにおいてリン酸化修飾を受けることが知られ、細胞周期制御、DNA損傷応答との関連が報告されている。EBVウイルス複製感染を誘導した細胞では経時的にRPA2のリン酸化修飾が増加し、またRPA2自身およびリン酸化修飾RPA2のDNA結合画分への移行が観察された。さらにリン酸化RPA2はEBウイルス複製領域中に共局在することが免疫染色による観察により明らかとなった。またこのときRPA2と同様にDNA組み換え修復に昨日する因子(Rad51,Rad52,Mre11,Nbs1)もEBウイルス複製領域中での共局在が観察された。免疫沈降実験により、リン酸化RPA2、Mre11,Rad52はEBウイルスDNA複製に関与するウイルス因子BMRF1と共沈してくることがわかり、さらにDNA組み換え修飾に関与する因子群はEBウイルスゲノムを免疫沈降により共沈させることが明らかとなった。またこうしたDNA組み換え修復に関連するタンパク質がEBウイルス複製領域内に観察されるたことは、そこにDNA損傷(DNA二重鎖切断部位)が存在することが強く示唆された。そこでTUNELアッセイを行いDNA二重鎖切断部位の有無を検証したところ、新規DNA合成領域に確かにDNA損傷部位を認めた。またsiRNAを用いてRad51とRPAをdeletionさせるとEBVゲノム合成能に著しい低下がみられた。以上のことから、EBウイルスDNA複製進行中、宿主DNA祖み換え修復関連タンパク質はウイルス複製装置と共に挙動し、そこでウイルスゲノム合成のいずれかのステップに関連してることが示唆された。
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