2008 Fiscal Year Annual Research Report
Cdt1結合蛋白質の網羅的同定によるDNA複製の細胞周期制御機構の解明
Project/Area Number |
06J01925
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
杉本 のぞみ Japan Women's University, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | DNA複製 / Cdt1 / MCM / ORC1 / CDC6 / 再複製 |
Research Abstract |
M期後期〜G1期にかけてORC/CDC6/Cdt1がMCM複合体をクロマチンに呼び込む。細胞周期につき一回の複製を保証するため、それらの因子の機能はS期以降制御されている。しかし、各因子の制御の厳密性には違いがある。例えば、Cdt1抑制には分解およびgeminin結合という複数の機構が存在する一方で、CDC6はCdkリン酸化によって一部が核外排出されるのみである。癌細胞において、Cdt1あるいはCdt1+CDC6の過剰発現により再複製が誘導されるという報告があるが、癌細胞ではライセンス化因子は過剰発現しているため、正常細胞を用いた解析が重要である。また、ヒトORC1はS期に分解されるが、その脱制御による影響は不明である。そこで、これらの因子の同時脱制御によって正常細胞においても再複製が誘導されるのかを調べた。まず、ヒト繊維芽細胞をTERTで不死化したHFF2/T細胞、および腎臓細胞をアデノウイルスのE1A/E1Bで不死化した293T細胞に、Cdt1、ORC1、CDC6それぞれを単独に過剰発現させたが、有意な再複製は起きなかった。次にCdt1+ORC1あるいはCdt1+CDC6を過剰発現させたところ、有意な再複製が惹起された。一方、ORC1+CDC6の過剰発現では再複製は起きなかった。さらにCdt1+ORC1+CDC6を同時に過剰発現させると、より強い再複製が引き起こされ、MCMのクロマチン結合量も増加した。以上の結果から、再複製抑制のため、MCMローディング因子の機能は厳密かつredundantに抑制されており、一つの脱制御では破綻は生じないが、Cdt1に加えORC1及び/あるいはCDC6の脱制御により、正常細胞においても再複製が誘導されることが示された。またこれらの結果は、再複製抑制におけるORC1制御の重要性を示した最初の報告ともなる。
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Research Products
(3 results)