2006 Fiscal Year Annual Research Report
植物-環境系における養水分の動態制御による環境保全型農業技術
Project/Area Number |
06J01941
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
安武 大輔 高知大学, 農学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 環境保全型農業 / 根の養水分吸収 / 顕潜熱地中蓄放熱システム / 低温ストレス / 蒸散速度 |
Research Abstract |
以下の4つの環境保全型農業技術の確立を目的としている. 研究I.低投入低排出の環境保全型養水分管理 研究II.新規地中蓄放熱システムによる温度ストレス回避のための養水分管理 研究III.根圏局所低温ストレスの導入による高品質野菜生産のための養水分管理 研究IV.中国黄河流域における節水型および塩害防止型の養水分管理 植物個体群の根群による水と元素の吸収速度の経時変化を同時に評価できる循環型NFT水耕栽培システムを開発し,さらに植物個体のインタクトの根系による水と元素の吸収特性を任意の環境条件下において評価するための圧力チャンバシステムを新規に開発した.今後は,根の養水分吸収に伴う培養液の成分組成変化,根の養水分吸収速度および導管液中の各元素濃度と環境条件との関係を,内皮の存在や膜輸送の機能に関連させて解析し,植物生産現場の変動環境下における根の物質吸収の機作を解明することを試みる(研究I).また,園芸施設における省エネルギーを可能にする新規・顕潜熱地中蓄放熱システムを既設のハウスに導入するとともに,エネルギー収支解析のための環境計測システムを構築した.今後は,多様な条件下および周年におけるシステムの蓄熱効率の評価を行う(研究II).一方,根圏のみに局所低温ストレスを与えることで,浸透圧調節機能および抗酸化機能を発現させて植物体内において有用物質(糖,酸,アミノ酸,ミネラル,抗酸化物質など)が高濃度に集積することを,ホウレンソウにおいて確認した,今後は,最適な根圏低温ストレスの条件(程度時期,期間)を検討する(研究III).さらに,昨年までに確立したアブシジン酸(ABA)利用による蒸散速度推定法を生育ステージの異なるトウモロコシ群落に適用して,蒸散速度と蒸発速度の分別評価を行い,トウモロコシ畑における水分動態の詳細な情報を得た.今後は,根群による吸水および土壌面蒸発に依存する塩類(養分)動態の解析を試みる(研究IV).
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Research Products
(4 results)