2006 Fiscal Year Annual Research Report
生体内におけるセレン代謝機構の解明:分析法の開発と生物学的応用
Project/Area Number |
06J01979
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
阿南 弥寿美 千葉大学, 大学院薬学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | セレン / 過剰摂取 / 蓄積 / 代謝 / 排泄 |
Research Abstract |
セレン(Se)は生体必須元素の1つであるが、その至適濃度範囲は狭く、過剰な摂取は毒性影響を示す。これまで、Seの生体内代謝に関する研究は、その生理学的意義に着目した例が多く、過剰なSeの体内動態や毒性発現の機序については情報が乏しい。本研究では、ラットに^<82>Seでラベルした過剰量の亜セレン酸(selenite)を含む水およびSe欠乏食を2週間自由摂取させ、Seの体内蓄積と排泄を定量的に解析した。 0、1、3、5、7、9、11、14日間投与群の肝臓と腎臓中Se濃度を測定したところ、肝臓中Se濃度は投与9日目まで増加し、その後減少した。一方、腎臓では投与7日目までに約2倍へと上昇し、それ以降一定となった。上清と組織中Se濃度の差から沈殿中濃度を算出したところ、肝臓ではSeの約50%が、腎臓では50-80%が沈殿中に分布していた。また、腎臓におけるSe濃度の上昇は上清に比べ沈殿画分で顕著であった。さらに沈殿画分を過酸化水素により酸化し、抽出されたSeの化学形態を調べた結果、Se代謝の中間生成物であるセレナイド(SeH-)が沈殿画分のタンパク質等に結合していることが推察された。従って、過剰に摂取したseleniteは主にセレナイドの形態で沈殿画分に蓄積されることが示唆された。肝臓および腎臓の上清において、Seは主にセレンタンパク質および、代謝物のセレン糖として検出された。尿中Se排泄量は投与後1日目に速やかに増加した後、9日目からさらに上昇した。以上の結果から、過剰に摂取されたSeは段階的に代謝・排泄されることが明らかとなった。今後、過剰なセレン摂取による毒性影響を評価するとともに、沈殿画分中に存在するSe結合リガンドの検索を行う予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Organochlorine and trace metal residues in adult southern bent-wing bat (Miniopterus schreibersii bassanii) in southeastern Australia,2006
Author(s)
Allinson, G., Mispagel, C., Kajiwara, N., Anan, Y., Hashimoto, J., Laurenson, L., Allinson, M., Tanabe, S.
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Journal Title
Chemosphere 64(9)
Pages: 1464-1471