2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J01984
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
五十嵐 智子 (澁谷 智子) Chiba University, 文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 異文化理解 / 相互行為 / 障害 / マイノリティ / バイリンガリズム |
Research Abstract |
本年度は、去年行なったアンケート調査とインタビュー調査に基づいて、博士論文「聞こえない親を持つ聞こえる人々-文化の中で自己の語りはどう作られるのか」を執筆し、東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻比較文学比較文化コースに提出した。同論文は、平成20年3月14日の博士論文審査会で、学位論文として認められた。博士論文の第二章で取り上げたコーダ(CODA:Chilren Of Deaf Adults)のコミュニケーションについては、そのうちの一部を『社会言語学』の論文「聞こえない親をもつ聞こえる人々の手話学習」で発表し、日本手話学会でも、「コーダの感じる日本語の苦手意識、手話の苦手意識」というタイトルの報告を行なった。コーダという切り口から社会の障害者観を問うた第三章の内容は、障害学会の大会で「障害のある親をもつ非障害の子ども-コーダの事例を中心に」として口頭発表し、さらに論文にまとめて『障害学研究IV』に投稿した(現在審査中)。 "聞こえる人が内面化している身体規範"をテーマとした従来の研究では、「カルチュラル・タイフーン」において、ろう者や吃音者の研究者と共に「声の文化を考える」というセッション報告を行なった。筆者は、主に手話ドラマなどを題材に「聞こえない人の声の表象」について発表し、高い評価を得た。 その一方で、本年度は、今後の研究を広げるための下地作りにも努めた。2008年2月には、聞こえない人のための世界唯一の大学であるギャローデット大学(ワシントンDC)を訪れて、手話による様々な授業を見学したほか、現地のコーダからアメリカのコーダの活動についての話を聞き、英語圏のコーダに関する文献資料や映像資料を集めた。さらに、聞こえないことと身体の問題についての知見を広げるために、フロンティア社会理論研究会に積極的に参加して障害とジェンダーに関する議論を深めた。
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Research Products
(5 results)