2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J01984
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
五十嵐 智子 (澁谷 智子) 千葉大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 異文化理解 / 相互行為 / 障害 / マイノリティ / バイリンガリズム |
Research Abstract |
本年度は、聞こえない親を持つ聞こえる人々(コーダ=CODA : Children of Deaf Adults)の二文化体験を調べるために、コーダの会やろう者組織を通じたアンケート調査を行い、その内容を分析・整理したものを、「「コーダに関するアンケート」の中間報告」にまとめた。この資料は、被験者に報告資料として配布し、現在執筆中の博士論文のデータとしても用いている。 また、本年度は、"聞こえる人が内面化している身体規範"をテーマとした従来の研究も続け、特に既発表論文「声の規範」(『社会学評論』第56巻第2号、2005年)への論文評に答える形で、評者への反論やさらなる論点の指摘を「渡辺氏の論文評に答える」にまとめ、『社会言語学』第6巻に掲載した。 その一方で、本年度は、新たに、世界ろうあ連盟本部を初めとして北欧諸国のろう者組織やろう教育機関を視察し、その活動や教育システム、手話の社会的地位などについて学んだ。言語権という概念に基づく手話による教育の主張と、人工内耳などの医療技術の進展が、どう進んでいくのかについては、来年度、日本の現状と重ね合わせながら、投稿論文としてまとめる予定である。 国内では、"聴覚障害者の高等教育"と"聞こえない人と医療"のテーマに基づいて、インタビュー調査や教育機関の視察などを行なった。前者は、四国学院大学や筑波技術大学の例を中心に、大学で学ぶ聴覚障害学生やろう教員の状況、情報保障のあり方や言語活用の実態に関する情報を集めた。また、広島ろう学校の研修にも参加した。後者については、ろうの薬剤師の勤務状況やろう者の病院利用などについて、聞き取りを行なった。これらのテーマは、来年度もさらに調査を継続する。
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Research Products
(1 results)