2006 Fiscal Year Annual Research Report
銀河団ダイナミックスと磁気流体過程を考慮したプラズマ加熱と熱輸送の研究
Project/Area Number |
06J01998
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
浅井 直樹 千葉大学, 大学院自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 銀河団 / 磁気流体 / 熱伝導 / X線天文学 |
Research Abstract |
(i)熱伝導と放射冷却を含めた銀河団プラズマの磁気流体数値実験 近年の銀河団のX線観測から、銀河団コアは従来の理論的予測に比べて冷えていないことが明らかになった(クーリングフロー問題)。結果、放射冷却を補う加熱源が必要であり、私は、磁気的加熱と周辺高温プラズマからの熱伝導に注目した。銀河団中心部で蓄積される磁気エネルギーとそのエネルギー解放がプラズマ加熱に寄与する可能性があり、私は2次元3次元磁気流体コード(CANS)を用いて、放射冷却と熱伝導の効果を含む銀河団中心プラズマをシミュレートした。その結果、中心部での磁気エネルギーは指数関数的に増加することがわかった。また、磁場による熱伝導抑制の効果により、その中心付近の低温プラズマ分布が磁場方向に沿って分布することがわかり、この温度分布は観測から示唆される低温と高温プラズマの共存を示唆する。この結果は、"Heating vs. Cooling in Galaxies and Clusters of Galaxies"という国際研究集会や日本天文学会2006年秋季年会で発表した。 (ii)乱流磁場中を運動する銀河団サブクラスターの3次元磁気流体数値実験 銀河団中を運動するサブクラスターの先端に、コールドフロントと呼ばれるシャープな温度不連続面が存在する。このフロントでは、磁場による熱伝導抑制の結果、フロントが維持されていると示唆されている。私はそれを再現するため、熱伝導を含めた乱流磁場中を運動するサブクラスターの3次元磁気流体数値実験を行った。結果、示唆の通り、サブクラスターの運動によりフロントに沿った磁場が形成され、フロントを横切る熱伝導が抑制されることがわかった。この結果は、第26回IAU総会や日本天文学会2007年春季年会で発表した。また、この結果をまとめた論文をThe Astrophysical Journalに投稿し、受理された。
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Research Products
(2 results)