2006 Fiscal Year Annual Research Report
非常態下における圧縮固定化処理木材の形状変化とその制御
Project/Area Number |
06J02118
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
足立 幸司 秋田県立大学, 木材高度加工研究所, PD
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Keywords | 木材 / 圧密化 / 形状制御 / 寸法安定性 / 木質材料 / 永久固定 / 樹脂含浸 / 圧縮木材 |
Research Abstract |
水熱処理、化学処理および樹脂含浸処理等、変形固定化処理を施した木材・木質材料を用い、それらの非常態下における形状変化を評価することで、木材の形状安定に関する広範な知見を体系化することを本研究の第一の目的とした。そして、得られた知見を活用して、外的な刺激(水熱変化、有機溶媒による汚染、火災)に対する寸法安定性が制御可能な木材加工技術の開発を第二の目的とした。成果を以下に示す。 ◆各種圧縮固定処理を施した圧縮木材の非常態下における力学挙動の解析 熱処理を用いた変形固定化木材は、水熱条件に対して高い寸法安定性を示したが、有機溶媒および強アルカリ溶液中では不可逆的な変形回復を示した。一方、樹脂固定処理材は高い寸法安定性を示した。このことによって樹脂を用いた圧密固定の有用性を改めて明らかにした。また、熱処理および樹脂固定処理材の双方で、600℃までの加熱による木材の熱減成・熱分解の過程において、試験材寸法の増大と共に変形が大きく回復する現象を新たに確認した。また、これらの変形回復は、インサイジング処理や加熱前処理によって大幅に緩和されたことから、変形回復の原因として、繊維方向の気体通導性が困難になるほど、熱分解ガスの材外部への放出が困難になり材内部が高圧化すること、また、それに伴って屈曲した細胞壁の形状回復が生じていることを明らかにした。 ◆形状・物性制御技術と圧縮変形技術を活用した新加工技術の開発 「スギ材を用いた表層圧密合板の製造」 レース単板の前圧縮処理と合板製造用の接着剤を用いた変形固定処理を組み合わせることで、従来の熱圧条件でのワンショットプレスによって表層圧密合板が製造可能となるような、新たな木材加工技術を見出した。 「圧密化木材を原料にした高密度木炭の製造」 木材の木取りと加熱条件を詳細に検討することで、軟質なスギ材からも大断面の高密度木炭が得られる加工技術の可能性を見出した。
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Research Products
(1 results)